2011-01-01から1年間の記事一覧

DCPRG@恵比寿リキッドルーム

From No NewYork!先日、アート・リンゼイをゲストに迎えた新生DCPRGのライブに行ってきた。復活後のDCPRGのライブは合わせて3度目。毎回微妙に演奏の質が違う気がする。復活第1弾ライブ@野音はDCPRGシンジゲート、アメリカン・クラーヴェのリッチー・フ…

『El Cine Soy Yo』(Luis Armando Roche/1977)

間が空いてしまったけどジュリエット・ベルト特集その8。ジュリエット・ベルトはグラウベル・ローシャとの傑作『Claro』(1975)のあと、再び南米の映画作家と組んでいる。このルイ・アルマン・ロシェ(注*読み方が間違ってるかもしれません)というベ…

『ブンミおじさんの森』(アピチャッポン・ウィーラセタクン/2010)

長編作品としては前作に当たる『世紀の光』(2006)の洗練を得て以後、『真昼の不思議な物体』(2000)に立ち返るかのような、獰猛なるいくつかの短編(『ナブアの亡霊』『モバイル・メン』『聡明な人々』等)を経たアピチャッポンの新作は、より簡…

「シャブロル映画の女たち」@アテネフランセ

6月〜7月にかけフランス映画祭2011及び、日仏学院で特集上映が予定されているクロード・シャブロルに関する『不完全さの醍醐味』の翻訳者、大久保清朗氏(id:SomeCameRunning)の講演をアテネフランセ、アナクロニズムの会で。今回の講演のテーマが冒…

Tindersticks + Claire Denis

ティンダー スティックス+クレール・ドゥニの特別ツアーが羨ましくて『ネネットとボニ』のサントラを中古屋さんで購入しました。というかクレール・ドゥニのファンとしては未公開のものを含め、おそらくすべて見ているはずなのですが、ここまで音楽が素晴ら…

Make Some Noise!

引き延ばされた非常事態が続く毎日でも音楽を聴くのがやたらに楽しい。楽しくて仕方ない!というわけで、最近見た映画についてあれこれ書きたい気持ちもあるけど、ここ最近は音楽を聴くのが久々にどうしようもなく楽しい状態が続いてるのでダラダラと音楽記…

『ファントマ』(クロード・シャブロル、フアン・ルイス・ブニュエル/1980)

クロード・シャブロルとルイス・ブニュエルの息子フアン・ルイス・ブニュエルが監督したTV作品全4話。主演はヴィスコンティ組のヘルムート・バーガーと一度その顔を見たら忘れられないジャック・デュフィロ。ジャック・デュフィロは、同年に撮られた『誇…

『ヒバリちゃん、羽をむしるよ』(ピエール・ズッカ/1988)

輸入DVDでピエール・ズッカ&クロード・シャブロル『ヒバリちゃん、羽をむしるよ』。エリック・ロメールが「ジャン・ユスターシュと並んで、ヌーヴェルヴァーグ以後の最も重要な作家の一人」と讃えるピエール・ズッカの作品に、クロード・シャブロルが主…

『SOMEWHERE』(ソフィア・コッポラ/2010)

桜木町ブルグにてソフィア・コッポラの最新作。ソフィア・コッポラは処女作から一貫して「引きこもり」の主題を描いてきたわけだけど、今回少しだけいつもと違うなという予感がしたのは開巻早々のストリップでFoo Fightersが流れたときだった。サントラも含…

『Sedmoy Sputnik』(アレクセイ・ゲルマン、グリゴーリ・アロノフ/1968)

アレクセイ・ゲルマンの処女長編。輸入DVDで。本当の処女作である単独監督作品『道中の点検』が、いきなり吹き荒れる雨のショットで度肝を抜くことを考えると、こちらは共作ということもあってか、その後の自由奔放なトンデモ感は控えめ。堅実に撮られて…

『フルスタリョフ、車を!』(アレクセイ・ゲルマン/1998)

先日アップリンクにて数年ぶりに再見したアレクセイ・ゲルマン『フルスタリョフ、車を!』に完全に打ちのめされた。いったい何の巡り合わせなのだろうか。このタイミングでこの怪物的な作品を浴びることのできたことの大きさを、全身を貫く心地よい痛みのよ…

『ベルタのモチーフ』(ホセ・ルイス・ゲリン/1985)

輸入DVDでホセ・ルイス・ゲリンの長編デビュー作品。『ベルタのモチーフ』の発表は1985年とIMDbに記載されているものの、撮影自体は1983年に行われた。ということは、ホセ・ルイス・ゲリンが弱冠23歳のとき撮った作品ともいえるわけだ。おい、…

『ファンタスティックMr.FOX』(ウェス・アンダーソン/2009)

やっと公開されたウェス・アンダーソン最新作は「10年がかりの構想によるストップモーション・アニメーション」と謳われる「マスタープラン」(劇中に何度も出てくる言葉)という言葉が想起させる”ガチガチ”ぶりを思いっきり遠くへ投げやってしまう。盗み…

「母親の鼻歌まじりの子守唄は、その時のその子にだけ届いているのではない。」

震災以後、音楽は聞けるのに映画は全然見れなかった。イーストウッドの『ヒアアフター』DVD売り上げによる義援金の話を聞いても、正直映画にできることってこういうことなのかな?と疑念ばかりに囚われていた(それとは別に、「運命論」を語りたがる知識…

地震について

被災された方が一人でも多く元の生活に戻れるよう祈ります。私自身は仕事先のビル周りの道路が陥没してしまって倒壊のおそれがあるため現在立ち入り禁止になっていて、復旧工事が終わるまで休職を余儀なくされています。店長からは床が抜けたと連絡を受けま…

『クロード・シャブロルとの対話 不完全さの醍醐味』(フランソワ・ゲリフ 大久保清朗=訳)

不完全さの醍醐味 クロード・シャブロルとの対話作者: フランソワ・ゲリフ,大久保清朗出版社/メーカー: 清流出版発売日: 2011/02/25メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 74回この商品を含むブログ (9件) を見る2週間ほど前のことになりますが、待望のクロ…

『トスカーナの贋作』(アッバス・キアロスタミ/2010)

渋谷ユーロスペースにてアッバス・キアロスタミの新作。かつてゴダールはカラックスの映画について「カラックスは映画を複雑に撮りすぎる。映画はもっと単純なものだ」と語ったものだけど、果たして映画における「単純さ」とはいったい何のことだろうか?「…

『ヒア アフター』(クリント・イーストウッド/2010)

地元シネコンにてイーストウッド最新作。ああ、こんなにスーッと心の隙間に染み渡るイーストウッドはいつ以来なんだろう?と思うくらい『ヒア アフター』は静かに澄みきっていた。『チェンジリング』における他を寄せ付けない圧倒性ではなく、VFXによる派…

『Mur Murs』(アニエス・ヴァルダ/1981)

ジュリエット・ベルト特集その7。ジュリエット・ベルトは『NEIGE(雪)』を発表した年にアメリカ、ロサンゼルスに渡り、アニエス・ヴァルダのドキュメンタリーに出演している。『Mur Murs』は同時期にアメリカで撮られた『ドキュメントする人』がそうであっ…

『終わった会話』(ジョアン・ボテリョ/1982)

ジュリエット・ベルト特集その6。ジュリエット・ベルトは長編処女作『NEIGE(雪)』を撮った翌年ポルトガルに渡りジョアン・ボテリョの作品に出演している。マノエル・ド・オリヴェイラも出演している『終わった会話』は詩人フェルナンド・ペソアとマリオ・…

『自滅しなさい:静かなる銃』(セルジュ・バール/1969)

ジュリエット・ベルト特集その5。ジュリエット・ベルトは『ウィークエンド』と『楽しい知識』の間にザンジバル・フィルム(映画制作コミュニティ)の作品に出演している。この「自己破壊」と題された作品は68年5月革命の前夜、68年の4月に撮られたと…

『CLARO』(グラウベル・ローシャ/1975)

ジュリエット・ベルト特集その4。ジャン=リュック・ゴダールの『楽しい知識』(1969)で共演したジャン=ピエール・レオが『七つの頭のライオン』(1970)に出演したのと入れ替わるように、ジュリエット・ベルトはグラウベル・ローシャの作品に参…

『Havre』(ジュリエット・ベルト/1986)

ジュリエット・ベルト特集その3。長編監督第3作目にあたる『Havre』。「避難所」もしくは「隠れ家」と題された本作(ジュリエット・ベルトは映画本編とタイトルの関係が3作とも絶妙すぎる!)は、映画作家ジュリエット・ベルトがジャック・リヴェットの最…

『悪党岬』(ジュリエット・ベルト&ジャン=アンリ・ロジェ/1983)

ジュリエット・ベルト特集その2。ジャン=クロード・ブリアリ、ベルナデット・ラフォンら豪華キャストが脇を固める長編第二作『悪党岬』は、決定的に夜の映画だった処女作『NEIGE』とは対照的な、決定的に昼の映画といえる。この「陽光のフィルム・ノワール…

『NEIGE』(ジュリエット・ベルト&ジャン=アンリ・ロジェ/1981)

2010年にシネマテーク・フランセーズで行われた「ジュリエット・ベルト・レトロスペクティブ」ではリヴェットやゴダールの作品は当然のことながら、自身の監督作品(4本)を含め、長編短編合わせて計18本もの作品が上映されるという、『アウトワン』…

『暴走特急 シベリアン・エクスプレス』(ブラッド・アンダーソン/2008)

間もなく新作『リセット』が久々の日本公開となる『マシニスト』の作家ブラッド・アンダーソンによる、日本ではDVDスルーになった前作。ウディ・ハレルソンを贔屓する者としては見逃せないと思いつつ、こんなに遅くなってしまった。独特の色味が早速どん…

『Enfances』(イジルド・ル・ベスコ他/2007)

こちらは映画作家の幼少期をフィクションとして描いたオムニバス映画。イジルド・ル・ベスコはオーソン・ウェルズの幼少期を担当している。クロティルド・エスムやエマニュエル・ベルコ(こちらはル・ベスコ作品に出演)といった女優も出演している。監督の…

『Demi-tarif』(イジルド・ル・ベスコ/2003)

かなり以前に青山真治氏がブログで長編処女作『CHARLY』に賛辞を送っていたことから気になっていた女優イジルド・ル・ベスコの中篇。イジルド・ル・ベスコといえばブノワ・ジャコの『いつか会える』のような少女映画の印象が強い女優。ちょうどミア・ハンセ…

『アンストッパブル』(トニー・スコット/2010)

トニー・スコットがトニー・スコットを模倣するだけならあんまり興味を惹かれないんだけど・・・、と思っていた『アンストッパブル』(なんちゅータイトルだ)は、こちらの安易な予測を良い意味で大きく裏切る映画だった。ごめんなさい。個人的に前作『サブ…

『ソーシャル・ネットワーク』(デヴィッド・フィンチャー/2010)

地元シネコンで早速の再見。例の爆音仕様のクラブのシーン(Tattakaさんが本作で描かれた青春を”終わらないレイヴ・パーティー”と比喩していたのは本当にハッとさせられた)で、マーク・ザッカーバークはショーン・パーカーに高校時代に好きだった女の子のこ…