女優≠作家論(2020年)

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2020年にリアルサウンドに寄稿させていただいた記事をここにまとめておきます。まとめるついでにオリジナルのタイトルを付けました。

 

シャーリーズ・セロン論「破壊せよ、とセロンは言った」

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フローレンス・ピュー論「光の行方」

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アンナ・カリーナ論「誰のものでもないアンナ・カリーナ

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エル・ファニング論「若すぎるということへの抵抗」

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蒼井優論「エーテルの行方」

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二階堂ふみ論「君、かなた」

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2020年ベストシネマ

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あけましておめでとうございます。若干、機を逸してしまった感あるけど、振り返りの記録としての年間ベストシネマ。2020年は「女優≠作家論」をテーマに、ジュリエット・ビノシュ論、シアーシャ・ローナン論をキネマ旬報に。シャーリーズ・セロン論、フローレンス・ピュー論、アンナ・カリーナ論、エル・ファニング論、蒼井優論、二階堂ふみ論をリアルサウンドに寄稿させていただいたのが、何より楽しい仕事でした。「女優≠作家論」は、ジャンヌ・バリバールと坂本安美さんの対談のある一言に感銘を受けて以降、とても長い間やってみたいと胸に秘めていたことの一つでした。お世話になっているそれぞれの編集者のお二人をはじめ、読んでくださった方々に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。

 

どんな一年よりも映画館の意義を感じた一年でした。こんな年だからこそ映画館が恋しかった。映画館は日常と切り離された空間であるところが素晴らしいのだと、こんなに身に染みて感じたこともない。配信で映画を見る機会は、むしろ鑑賞のメインとなるくらいに増えたけれど、それは隣に広がる日常と地続きであって、部屋でプロジェクターで上映したところで、それは「空間」には決してなれない。映画館は自分にとって、逃げ場所であり、シェルターであり、あるいは秘密基地のようなもの、、、ほとんど無意識の内にそういった「空間」になっていたのだなと再認識しました。

 

以下、2020年のベストリスト。

 

1.『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(グレタ・ガーウィグ

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Little Women / Greta Gerwig

 

2.『ジョジョ・ラビット』(タイカ・ワイティティ

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Jojo Rabbit / Taika Wititi

 

3.『鵞鳥湖の夜』(ディアオ・イーナン)

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The Wild Goose Lake / Diao Yinan

 

4.『ジオラマボーイ・パノラマガール』(瀬田なつき

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Georama  Boy, Panorama Girl / Natsuki Seta

 

5.『リベルテ』(アルベルト・セラ

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Liberté / Albert Serra

 

6.『オン・ザ・ロック』(ソフィア・コッポラ

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On The Rocks / Sofia Coppola 

 

7.『フォードvsフェラーリ』(ジェームズ・マンゴールド

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Ford v Ferrari / James Mangold

 

8.『スパイの妻』(黒沢清

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Wife of a Spy / Kiyoshi Kurosawa

 

9.『ファイティング・ファミリー』(スティーヴ・マーチャント)

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Fighting with My Family / Stephen Merchant

 

10.『悪魔はいつもそこに』(アントニオ・カンポス

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The Devil All The Time / Antonio Campos

 

+1.『De Una isla』(ホセ・ルイス・ゲリン)*短編

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De Una isla / Jose  Luis Guerin 

 

ジョジョ・ラビット』は昨年のベストにも入れたけど、改めて。まあ、大好きなのです。スカヨハママは最高に格好いいハンサムウーマン。以下、2019年のベストシネマ。

 

maplecat-eve.hatenablog.com

 

2020年はシアーシャ・ローナンの背中ですべてが決まった。「アクション!」という声を待つようなシアーシャの緊張する背中に。映画のファーストショットとしてこれほど美しいと思えるショットもなかなかない。『ジオラマボーイ・パノラマガール』は瀬田なつきのエッセンスを過剰なくらい詰めたうえで、始発へ向かう山田杏奈の奇跡のショットに返還する。瀬田さんの新境地だと思う。素晴らしい。『リベルテ』は映画館で見て意識が遠のき、家で再見したときも再び意識が遠のいたのだけど(理由はこの異形の画面に”慣れてしまう”ため)、血色の悪い貴族の繰り広げる謂わば「デスマスクの宴」として、極めて美しい細部で構成された作品だと改めて思う。雷が鳴って、大雨が降って、ガラス越しに映る連続するショット、幽霊のように森を彷徨う貴族の女性のショット。細部の文法が美しい。『悪魔はいつもそこに』はついにアントニオ・カンポスが傑作を撮ったことが嬉しかった。物語の大きさと猟奇的な演出の融合が見事に冴えわたっている。

 

『Saint-Cyr』(パトリシア・マズィ)

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Saint-Cyr / Patricia Mazuy

 

旧作はいろいろあるのだけど、この一本を。パトリシア・マズィ『Saint-Cyr』。パトリシア・マズィは馬をフレームの下でコントロールしようとしない。とんでもなく自由。驚いた。

 

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Saoirse Ronan in Little Women

 

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Fumi Nikaido in Yell

 

主演女優賞は『若草物語』のシアーシャ・ローナンと『エール』の二階堂ふみで。二人はまったくもって別次元だった。キネマ旬報シアーシャ・ローナン論を寄稿した際、担当してくれた佐藤さんの「シアーシャは青春を生き直しているんですね!」って、感想に思わず涙がこぼれた。「青春を生き直す」。何度も心の中で唱えた。本当に素敵な言葉です。

 

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Saoirse Ronan & Greta Gerwig

 

最後にグレタ・ガーウィグの素敵な言葉を2020年の記録として残しておきたい。

 

「私たちは道を歩く時、いつも小さかった頃の自分と一緒に歩いている。私たちはいつも、自分たちがなりたかった自分を今の自分に融合させている。」(グレタ・ガーウィグ)