2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『シルビアのいる街で』(ホセ・ルイス・ゲリン/2007)

今年の6月に出たUK盤DVDで再見。ジャケットのデザインがクロッキー風。美しいです。スペイン盤DVD−BOXにも収録されていたスケッチ風の短編2本とゲリンのロングインタビュー、主演のグザヴィエ・ラフィット、撮影監督のNatasha Braierのインタビ…

『THIS IS IT』(ケニー・オルテガ/2009)

上映後、映画祭でも経験したことのない鳴り止まない拍手と歓声に包まれるや嗚咽のような涙が溢れだし席を立てなくなってしまった。たとえマイケル・ジャクソンに興味がなくとも、あなたが音楽やダンスの魔法を信じるなら、敢えて混雑する日を狙って満員の映…

『YESMAN/NOMAN/MORE YESMAN』(松村浩行/2002)

こちらはビックリするような作品だった。「反復とズレ」という手法そのものに批評のメスが入っているというか。「イエス」と「ノー」で山越えの同じ劇が繰り返される第2幕までは『世紀の光』のアピチャポンみたいな「ズレ」の構成になるのかな?と勘繰って…

『よろこび』(松村浩行/1999)

アテネフランセにて。『よろこび』は『TOCHKA』におけるミニマルな厳しさとは対極の、文字通り「よろこび」に溢れた作品だった。開巻早々浜辺の魔術(笛の音)から面喰らう。集団でドラムを叩く「リズム社」、とか。「リズム社」のルールは(一定の)リズム…

LYNKLE『GUITAR MOODS』

B−BOYのお兄さんから貰ったクラブイベントのフライヤーに後藤真希が載っていてビックリ。思わず、これってあの後藤真希ですか?と尋ねると「オレたちの後藤真希!」と笑顔でご返事。語呂が素敵です。全然知らなかったのだけどHIPHOP(というよりレ…

『ハポン』(カルロス・レイガダス/2002)

先日DVDで見たリサンドロ・アロンソ『死者たち』は、この作品への強烈な批判として機能すると思う。似たような物語を持つ両作品における撮影、演出、編集の質の差に触れれば、リサンドロ・アロンソの演出が現代映画を撮ることを如何に真摯な態度で志して…

『よく知りもしないくせに』(ホン・サンス/2009)

スコリモ当日券に平日の朝7時から行列!?という異常事態な東京国際映画祭にて、初ホン・サンス。心地よい風が吹く。かつて「分か〜り合えやしない〜ってことだけを〜分かり合うのさ〜」と唄ったのは、フリッパーズ・ギターですが、人生におけるダラダラ/…

『玄海灘は知っている』(キム・ギヨン/1961)

初キム・ギヨン。日本軍部内における朝鮮人の扱いを描くということで、ほぼ日本人しか出てこないという設定なのに、全編韓国語、「ナカム〜↑ラさん」という発音がやけに耳に残るようないい加減さは大好きなのだけど、いやいや、頻繁に挿入されるあの名古屋城…

『小さな山のまわりで』(ジャック・リヴェット/2009)

東京国際映画祭にてジャック・リヴェット。いつになく早い制作のインターバルと85分(!)というリヴェットのフィルモグラフィーにおいて例外的にコンパクトな上映時間を持つ新作。嬉しいのは現代劇というところ。合間合間に挿まれる寸劇のシーンはともか…

『シーリーン』(アッバス・キアロスタミ/2008)

カンヌ国際映画祭60回記念につくられたオムニバス『それぞれのシネマ』のキアロスタミ篇を見た方なら『シーリーン』における実験的な作風はある程度予測できたのではないか。上映前にキアロスタミからの伝言ということで「日本の観客は世界一我慢強い。今…

『時の彼方へ』(エリア・スレイマン/2009)

東京国際映画祭「アジアの風」部門にてエリア・スレイマンの新作。4つの時代のイスラエルをスレイマン(最後はスレイマン自身が演じるという半自伝的な作品)が物言わぬ傍観者として見つめる。イスラエルという”特殊”な国籍を持ちながら何処までもコスモポ…

『パンドラの匣』(富永昌敬/2009)

六本木から新宿に移動して待望の『パンドラの匣』。川上未映子主演。こちらは『TOCHKA』と両極端というか振れ幅が思いっきり逆方向に振れた趣き。対照性が際立つというか、よい選択をしたなと。『パンドラの匣』に関しては敢えて「音楽映画」と呼びた…

『TOCHKA』(松村浩行/2009)

東京国際映画祭3日目「日本映画・ある視点」部門にて『TOCHKA』。全てのショットに迷いのない強度が宿っている恐るべき作品。アメリカ軍に攻められることなく北海道の広大な大地にポツネンと取り残されたトーチカ。藤田陽子がトーチカから眺める枠で…

『かなり短い時間単位内での何人かの人物の通過について』・『分離の批判』(ギー・ドゥボール/1959・1961)

エド・ヴァン・デル・エルスケンの『セーヌ左岸の恋』(余談ですがフィリップ・ガレルの映画って『セーヌ左岸の恋』の登場人物が動いてるみたいですよね)の舞台となったサンジェルマン・デ・プレ裏通り(サルトルはじめ実存主義者は表通りだそうです)界隈…

『サドのための絶叫』(ギー・ドゥボール/1952)

まずドゥボールの残した「作品」が特集として組まれてしまうということ自体、もっと言えばドゥボールの行なった仕事を「作品」と呼ぶこと自体が、ドゥボールの批判する「スペクタクル」になってしまう、という矛盾が生じてしまうわけだけど、ドゥボールの「…

『夜に彷徨い歩く映画』(イルコモンズ氏編集)

18日の日仏学院「ギー・ドゥボール特集」に行く人も、仕事で行けないという人(私)もこれは見ておいた方がよいよ。イルコモンズさん編集の『われわれは夜に彷徨い歩こう、そしてすべてが火に焼き尽くされんことを』予告編。日本語字幕付き(!)。ああぁ…

『プリティ・リーグ』(ペニー・マーシャル/1992)

プリティ・リーグ [DVD]出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント発売日: 2009/09/02メディア: DVD購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (9件) を見る中学校のとき以来の再見。東大での菊地・大谷ゼミの余談としてよく語られていた…

『不法労働』(イエジー・スコリモフスキ/1982)

大傑作『アンナと過ごした4日間』が今週末より上映ということで、輸入DVDでスコリモフスキ『不法労働』。1981年ポーランドにおける戒厳令を背景に、ジェレミー・アイアンズ率いるポーランド人4人組のロンドンにおける不法労働を描いた快作。故国に…

『イン・ベッド・ウィズ・マドンナ』(アレック・ケシシアン/1991)

イン・ベッド・ウィズ・マドンナ [DVD]出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン発売日: 2007/03/23メディア: DVD購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (4件) を見る「ブロンド・アンビション・ツアー」のドキュメンタ…

『フーズ・ザット・ガール』(ジェームズ・フォーリー/1987)

フーズ・ザット・ガール [DVD]出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ発売日: 2009/09/09メディア: DVD クリック: 4回この商品を含むブログ (1件) を見る『俺たちの明日』、『ロンリー・ブラッド』に続くジェームズ・フォーリー第3作目。DVDで。公開…

川上未映子×菊地成孔@Hakuju Hall

今週末から公開の『パンドラの匣』(富永昌敬)が楽しみな(テアトル新宿での初日舞台挨拶は残念ながら行けないのですが)川上未映子さんが菊地成孔氏のイベント「NIGHT DIALOGUE WITH」の初回ゲストということでHakuju Hallまで行ってきました。ここHakuju…

『ずっとあなたを愛してる』(フィリップ・クローデル/2008)

フィリップ・クローデルの前に、17、18日に行なわれるギー・ドゥボール特集のチケットを購入したのだけど整理番号が一桁台で、あれまー!、とやや肩透かしを喰らう。『スペクタクルの社会』が日本語字幕付きで上映される(残念ながら本命の18日は行け…

『死者たち』(リサンドロ・アロンソ/2004)

輸入DVDでリサンドロ・アロンソ。リサンドロ・アロンソはアルゼンチンの新進作家(34歳)。08年のベストとの呼び声も高い『リバプール』は、昨年のカンヌ国際映画祭監督週間などで上映されています。カンヌにはデビュー作『La libertad』以来、全作品…

『12の椅子』(トマス・グティエレス・アレア/1962)

こちらは有名な原作があるそうですが、非常に知性を感じさせる脚本だなと。革命後の世界で邸宅を没収された旧ブルジョアとその使用人が「12の椅子」に隠された宝石を捜すという物語。この「12の椅子」は個人の所有を離れ、国有物となり、オークションに…

『ある官僚の死』(トマス・グティエレス・アレア/1966)

キューバ映画祭2009@ユーロスペースにてトマス・グティエレス・アレアを3本。ハードコアな作品なのかな?と思いきや、非常に軽やかなコメディで意表を抜かれました。こちらの作品は何処までも官僚的に馬鹿馬鹿しい「形式」「順序」を重んじる社会を笑…

東京国際映画祭&NYフィルムフェスティヴァル

昼過ぎに「チケットぴあ」に行ったらスコリモは既に全てソールドアウト(追記*ローソンチケットにはありました!思い出したのだけど去年も<予定枚数終了>から何故か復活してたケースがあったので要注意)、で結局、リヴェット、スレイマン、キアロスタミ…