『よろこび』(松村浩行/1999)

アテネフランセにて。『よろこび』は『TOCHKA』におけるミニマルな厳しさとは対極の、文字通り「よろこび」に溢れた作品だった。開巻早々浜辺の魔術(笛の音)から面喰らう。集団でドラムを叩く「リズム社」、とか。「リズム社」のルールは(一定の)リズムを崩してはならない。というわけで、このリズムを壊すところが物語の焦点になってくる。リズム(=時計)を崩すことが革命になる。万田邦敏フィクサーぶりが楽しい。集団で草原を駆け抜けるショットは多幸感に満ちていた。