2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『ウィンターズ・ボーン』(デブラ・グラニック/2010)

東京国際映画祭ワールドシネマ部門にて。アメリカの片田舎を過酷に生きる少女の物語である本作は、舞台である雪のロケ地に比例するような人と人との間に生まれる冷たい視線の対立を執拗に繰り返すことの暴力連鎖だ。その絶対的に親密になることを禁じた距離…

『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』(瀬田なつき/2010)

東京国際映画祭にて瀬田なつき劇場用長編デビュー作。角川映画だろうがなんだろうが瀬田なつきの映画は確固として揺るがなかった。ここには『とどまるかなくなるか』、『むすめごころ』、『彼方からの手紙』、『あとのまつり』で私たちを夢中にさせてくれた…

『ハンズ・アップ!』(ロマン・グーピル/2010)

東京国際映画祭で最初に出会った傑作について取り急ぎ紹介したい。当てにならない確信を持って言うならば、おそらく今回の東京国際映画祭で本作に勝る「発見」はないだろう。とはいえ「発見」という言葉を使うのは、既に20年近くのキャリアを持つロマン・…

『エクスペンダブルズ』(シルヴェスター・スタローン/2010)

オドロイタという表現はやめよう。留保付きの絶賛という人をスッキリさせない言い方を唾棄してしまおう。夜の街を走るバイクと無数のライトが映えるファーストショットから『エクスペンダブルズ』は明快かつ爽快なアクションを、かつて多くの人が夢中になっ…

『ホワイト・マテリアル』(クレール・ドゥニ/2009)

日仏学院「カイエ・デュ・シネマ週間」にて待ちに待ったクレール・ドゥニの最新作。イザベル・ユペールの提案によって実現したこの初コラボは、処女作『ショコラ』以降再びアフリカ大陸で撮影されている。一国の内戦と其処に留まることを決断したヒロイン=…

『黄金の男』(ジャン・ベッケル/1964)

『境界線』のジーン・セバーグに痺れたので、未見のセバーグ出演作を。これはジャック・ベッケルの息子ジャン・ベッケルが撮った、ジャン=ポール・ベルモンドとの再共演作。『勝手にしやがれ』の二人が!というだけで、どうしようもなくワクワクすると同時…

『境界線』(クロード・シャブロル/1966)

クロード・シャブロルとジーン・セバーグの組んだ『コリントへの道』(1967)の軽妙洒脱ぶりについては以前当ブログでも取り上げたが、これはその前年に制作された打って変わってレジスタンスを描いた重厚なシリアス路線の作品。1941年に時代設定さ…

『ジャガーの眼』(クロード・シャブロル/1965)

クロード・シャブロルが「三回だけの我慢」として虎シリーズ2作と共に撮りあげた当時流行のスパイ映画。実はちょっと前に見た作品なのだけど、この映画については何か書いておきたかった。主演のマリー・ラフォレが若い頃のジェーン・バーキンとタメを張る…

DCPRG@日比谷野音

大雨という最悪なコンディションはダンスをするのに何の関係もなかった。この日のステージに渦巻いた圧倒的なグルーヴに熱狂したすべてのクラウドが証人になるだろう。フロアは複雑なリズムを刻むダンスミュージックのケイオスで包まれ、やや後方の位置で跳…

『Goshogaoka』(シャロン・ロックハート/1998)

写真家であり映画作家、というより現代アートの作家として知られるシャロン・ロックハートが撮った中編をいくつか。ジェイムズ・ベニングを別格として、アメリカの実験的・前衛的な映画作家として紹介されることの多いシャロン・ロックハートに個人的な興味…

ポルトガル映画祭2010

『トラス・オス・モンテス』の満員御礼(!)でもってフィルムセンターでのポルトガル映画祭は無事終了。伝え聞くところによると『カニバイシュ』(オリヴェイラ)の上映で会場が笑いに包まれたんだとか。さて、楽しみにしていたわりに実のところ今回はあま…