2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『ムーンライズ・キングダム』(ウェス・アンダーソン/2012)

ウェス・アンダーソンの新作。楽しみにしてる方が多いと思うので、分析的なことは書かず、内容にも踏み込まずに書こうと思う。ポータブル・レコードプレイヤーと双眼鏡(&猫)を片手に少年と少女は旅に出る。ぼくらが旅に出る理由。この世界から逃れるため…

『インポッシブル』(J・A・バヨナ/2012)

東京国際映画祭にてユアン・マクレガー&ナオミ・ワッツの『インポッシブル』。フアン・アントニオ・バヨナの作品は初めて見たのだけど、これがなかなか善戦している作品だった。映画はスマトラ沖地震による津波で離散した家族の再生を描いている。何もかも…

『スプリング・ブレイカーズ』(ハーモニー・コリン/2012)

東京国際映画祭にてハーモニー・コリンの新作。水着ギャルたちが狭い廊下で謎の集団逆立ちを披露する、ジャック・リヴェットがヘタレになったかのようなシーンから、いや、もっと以前に、ギャルが手で銃の真似事をしながら独特の擬音を発するシーンから、こ…

『アウトレイジ ビヨンド』(北野武/2012)

黒味の画面、耳をつんざくけたたましい金属音と共に始まる北野武の新作は、クレーンに吊り上げられた黒い車が示すどおりの真っ黒な傑作だった。海水が漏れるあの黒い車体のような重み、黒さ。ファーストショットでこれが傑作であることを確信させる黒さ。黒…

『ライク・サムワン・イン・ラブ』(アッバス・キアロスタミ/2012)

この作品に流れる時間のすべてが、いとおしい。舞台を日本に移したところで、キアロスタミの「道」へのこだわりは変わらないどころか、むしろそれは多面性を極め、乱反射のごとくスクリーンに投射される。もう一度キアロスタミの言葉を思い出そう。「道とは…

『ヘミングウェイ&ゲルホーン』(フィリップ・カウフマン/2012)

今年のカンヌで上映されたフィリップ・カウフマン待望の新作は、『存在の耐えられない軽さ』や『ヘンリー&ジューン』といった傑作を撮ったこの作家が、ニコール・キッドマンという稀代の女優を演出することで、演出家としての経年と経験の賜物とも思える、…