2009-01-01から1年間の記事一覧

2009年、10枚の音盤+1+1EP

単純によく聴いた順に並べます。南米→中米→北米へと向かうペペの新譜はゴダールの手法でリンチの世界=記憶を編集したかのような。このサウンドを聴いていると何故か失われた無声映画の女優へと思いを馳せてしまう。女優の霊を召喚する儀式のような。ハリウ…

『ぼくら、20世紀の子供たち』(ヴィターリー・カネフスキー/1993)

黄金町ジャック&ベティでカネフスキー。扉を閉めることによって「皮肉なくじ運」の20世紀(ソ連崩壊)の子供たちの記憶は甘美な厳しさでパッケージされる。ただ、この扉は1つ世紀を跨ぎ、現在の日本で再び開かれてしまったような感覚、認識を持っている…

『アバター』(ジェームズ・キャメロン/2009)

地元シネコンレイトにてジェームズ・キャメロン『アバター』。3D(初日)と2D(本日)、両方のヴァージョンを体験したのだけど、これはとても価値のあることに思えた。ハッキリと断言できるほどの確信はないのだけど、3Dは製作者側の見せたい部分が強…

『倫敦から来た男』(タル・ベーラ/2007)

同じくイメージフォーラムにてタル・ベーラの新作。海外におけるこの作家への絶大な評価とは裏腹に日本におけるタル・ベーラの評価はかなり微妙、どちらかというと積極的に違和感を表明する人の方が多いような。ただ『ヴェルクマイスター・ハーモニー』(2…

『アンナと過ごした4日間』(イエジー・スコリモフスキ/2008)

イメージフォーラムにて1年振りの再見。昨年の東京国際映画祭で見たときはスコリモ登壇という映画祭独特の緊張感も手伝ってか、とにかく圧倒された本作。まるで戦争が終わったことを知らされていない唯一の地区であるかのように、この灰色の空は鈍く、未だ…

『証人たち』(アンドレ・テシネ/2007)

横浜日仏学院にてアンドレ・テシネ。英語字幕付き上映。エマニュエル・ベアールがタイプライターを猛烈な勢いでキーパンチするタイトルバックから息咳きったかのような忙しなさが全編を支配する。とにかく展開が早い、早い。早いだけでなく詰められた情報量…

『悪の華』(クロード・シャブロル/2003)

輸入DVDでゼロ年代シャブロル。こちらは以前シネフィルイマジカ放送された作品だそう。ゼロ年代シャブロルの特徴はカメラが自由闊達に動き回ることなのだろうか?まずタイトルバックに被さる長回しのファーストショットが所謂「亡霊ショット」というやつ…

『パブリック・エネミーズ』(マイケル・マン/2009)

地元シネコンレイトにて『パブリック・エネミーズ』初日。この作品を「顔」でつなぐ切り返しのサスペンス、とするならば、同じ土俵に乗ったマイケル・マンに対するトニー・スコットの圧倒的優位は揺るがない。職人芸の域を超え奇妙な突出さえ見せるトニスコ…

『意地悪刑事』(クロード・シャブロル/1985)

輸入DVDで80年代シャブロル。原題は”鶏肉のビネガー”といったところなんだけど、映画を見れば思わず納得の邦題。ジャン・ポワレのヤクザ紛いの破天荒な捜査が強烈すぎ。当然元妻ステファーヌ・オードランが出ていることが個人的に最大のポイント。ただ…

W杯抽選会

深夜の生中継ドギマギしながら見ましたよ。日本はオランダ、デンマーク、カメルーンですか。どこも強くて華があって楽しそうじゃないか。スカパーのゲストはオシムだったのだけど、他の解説陣の言葉を全否定して、より厳しく慎重に選択された言葉で語る久々…

『プレジャー・パーティー』(クロード・シャブロル/1975)

輸入DVDでクロード・シャブロル『プレジャー・パーティー』。一応邦題は『お楽しみ』らしいのだけど、あまりにも微妙すぎるタイトルなので英題にしておく。シャブロルの放つショットとショットの間に生まれるポエジーが紋切型から微妙にズラされているの…

WEB上の映画

もはやどんな稀少な映画がYoutubeその他にアップされていようと驚かなくなってしまったこの頃ですが、個人的には『公共問題』(ロベール・ブレッソン)をYoutubeで見てしまったことの後悔から、WEB上で映画を見ることをかなり前にやめてしまった。短編なら「…

『コリントへの道』(クロード・シャブロル/1967)

輸入DVDでクロード・シャブロル&ジーン・セバーグ『コリントへの道』。英題を『The Road to Corinth』又は『Who's Got the Black Box』。よくいわれるヒッチコックからの引用/影響云々より、同時代の、例えば『唇からナイフ』(ジョセフ・ロージー)の…

マイケルのダンス

『THIS IS IT』最終日入場叶わず。もしかすると『THIS IS IT』の、というより、この作品におけるマイケルのダンスの凄まじさを最も正確に語れるのは現役のダンサーたちかもしれない。これは某掲示板でどなたかが書かれていたことですが「マイケルは決して派…

『ひとりで生きる』(ヴィターリー・カネフスキー/1992)

ヴィターリー・カネフスキー特集@ユーロスペースにて『ひとりで生きる』初見。多くの映画好きの方と同じく、『動くな、死ね、甦れ!』は、孤高の厳しさ、美しさの前に茫然唖然としてしまう作品として、初見時から今尚鮮烈な記憶が残っている。カネフスキー…

『イングロリアス・バスターズ』(クエンティン・タランティーノ/2009)

実は既に3度目。やっぱ泣ける。どこまで好きなんだという。メラニー・ロランの経営する映画館の看板が「G.W.パブスト」から「アンリ=ジョルジュ・クルーゾー」に張り替えられていたりとか一度目にはスルーしてしまった細部の発見は多々あれど、『イングロ…

『パリ・オペラ座のすべて』(フレデリック・ワイズマン/2009)

これは最高の作品ですね。まるで最初のショットが生まれたときからマスターピースとして宿命付けられているような画面の充実。これを「ワイズマン・マジック」と一言で片付けてしまってよいのか?とにかくスゴイ映画だった。個人的にベストダンスは女の子た…

『ヴィサージュ』(ツァイ・ミンリャン/2009)

フィルメックスにてツァイ・ミンリャンの新作。アジア圏の映画作家がフランス資本で映画を撮り成功する昨今の例に洩れず、ツァイ・ミンリャンの新作は大変に興味深い仕上がりになっている。ただ恐らく『ヴィサージュ』やツァイ・ミンリャンの過去作を全く評…

『イングロリアス・バスターズ』(クエンティン・タランティーノ/2009)

地元シネコンにてタランティーノ新作初日。前作『デス・プルーフ』のときより本作を語るの声の調子がやや落ち着いたトーンのように感じるのは気のせいでしょうか?いやいや、とんでもない!これは大・大傑作じゃないか。まだ公開初日なのでネタバレに注意し…

『島の探求』(ルドルフ・トーメ/1979)

赤坂大輔氏によるレクチャー・シリーズ『New Frontier New Cinema』@UPLINKにてルドルフ・トーメ。3時間15分。果たしてルドルフ・トーメ初体験がこれでよかったのかどうかという疑問は大いに残るものの、ルドルフ・トーメやストローブ=ユイレ以降のドイ…

『ユキとニナ』(諏訪敦彦、イポリット・ジラルド/2009)

日仏学院にて来年1月に恵比寿ガーデンシネマにて公開される『ユキとニナ』の先行上映。上映後に諏訪・ジラルド両監督のティーチイン付き。イポリット・ジラルドはデプレシャンの近作や『レッド・バルーン』(ホウ・シャオシェン)における演技が記憶に新し…

ゴダール『Socialism』のポスター

・『Socialism』のポスターが発表された模様。先日までweb上に公開日(1月10日)まで具体的に書いてあったのだけど、どうなったのだろう。パティ・スミスが出てるんだよね。楽しみだな。以下、スペースが余ったので雑記。 ・『アンチクライスト』(トリア…

『35 RHUMS』(クレール・ドゥニ/2008)

輸入DVDでクレール・ドゥニ。個人的にとても期待している新作『ホワイト・マテリアル』の前の作品。ジム・ジャームッシュが『リミッツ・オブ・コントロール』を撮っている裏で、同じく黒人俳優アレックス・デスカス(空港で最初に暗号を渡す人)を起用、…

『スペル』(サム・ライミ/2009)

地元シネコンレイトにてサム・ライミの新作。サム・ライミ版『エクソシスト』とでもいうべき悪魔憑きの物語。ヒロインとその彼氏の容姿をはじめ、最新技術を除いてしまえば70年代ホラー映画の趣きさえ感じる。世界でも指折りの演出家たるサム・ライミによ…

『ルート1』(ロバート・クレイマー/1989)

アテネフランセ、クリス・フジワラ氏による連続講義「アメリカ映画における時間とパフォーマンス」にて初ロバート・クレイマー。255分。其処に描かれているアメリカの社会史/個人史への非常に透明度の高い、痛みの批評を語る以前に、まず、とにかく面白…

『シルビアのいる街で』(ホセ・ルイス・ゲリン/2007)

今年の6月に出たUK盤DVDで再見。ジャケットのデザインがクロッキー風。美しいです。スペイン盤DVD−BOXにも収録されていたスケッチ風の短編2本とゲリンのロングインタビュー、主演のグザヴィエ・ラフィット、撮影監督のNatasha Braierのインタビ…

『THIS IS IT』(ケニー・オルテガ/2009)

上映後、映画祭でも経験したことのない鳴り止まない拍手と歓声に包まれるや嗚咽のような涙が溢れだし席を立てなくなってしまった。たとえマイケル・ジャクソンに興味がなくとも、あなたが音楽やダンスの魔法を信じるなら、敢えて混雑する日を狙って満員の映…

『YESMAN/NOMAN/MORE YESMAN』(松村浩行/2002)

こちらはビックリするような作品だった。「反復とズレ」という手法そのものに批評のメスが入っているというか。「イエス」と「ノー」で山越えの同じ劇が繰り返される第2幕までは『世紀の光』のアピチャポンみたいな「ズレ」の構成になるのかな?と勘繰って…

『よろこび』(松村浩行/1999)

アテネフランセにて。『よろこび』は『TOCHKA』におけるミニマルな厳しさとは対極の、文字通り「よろこび」に溢れた作品だった。開巻早々浜辺の魔術(笛の音)から面喰らう。集団でドラムを叩く「リズム社」、とか。「リズム社」のルールは(一定の)リズム…

LYNKLE『GUITAR MOODS』

B−BOYのお兄さんから貰ったクラブイベントのフライヤーに後藤真希が載っていてビックリ。思わず、これってあの後藤真希ですか?と尋ねると「オレたちの後藤真希!」と笑顔でご返事。語呂が素敵です。全然知らなかったのだけどHIPHOP(というよりレ…