2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『ウィークエンド』(ジャン=リュック・ゴダール/1967)

アテネフランセにて「音楽家が解読する映画音楽 音と映像の作用/反作用」。本日はゴダール×ジム・オルーク。恥ずかしながら『ウィークエンド』初見なんです。。。なんて楽しい映画だろう!面白すぎて狂ってしまいそうだ。今見直すべきゴダールは『カラビニ…

『憐 Ren』(堀禎一/2008)

『妄想少女オタク系』の堀禎一による新作。川沿いの自転車、といえば一昔前の自主映画の定石と思ってしまうのだけどこの作品のそれは定石と似て全く非なるもの。2人の漕ぐ自転車を正面からの移動撮影で長々捉えるというのは(ましてや夜もある←泣ける。アウ…

『はなればなれに』(ジャン=リュック・ゴダール/1964)

アテネフランセにて「音楽家が解読する映画音楽 音と映像の作用/反作用」。本日はゴダール×菊地成孔氏。久々に菊地さんの講義を聴く(東大マイルス講義以来)。約2時間20分ずっと夢中になって聴いていた。話が面白すぎるッ。非常に充実した時間を過ごさ…

『悲しみは空の彼方に』(ダグラス・サーク/1959)

上映後急いでトイレに駆け込み涙でぐしゃぐしゃになった頬を拭う。マヘリア・ジャクソンが唄うゴスペル→葬送のシーンは目に涙が溜まってボヤけてしまう。「虹を追いかけたことがあるかい」って素敵な台詞ですね。って思い出しながらまた泣いてしまう。世紀の…

『翼に賭ける命』(ダグラス・サーク/1957)

PFFにて。なんだかすごいシネスコ。飛行レースのシーンでは体がぐわんぐわんと揺さぶられた。劇場で見て本当によかった。初恋が飛行機なのだからと、国旗を背負って勲章を得てしまう皮肉もなんのその、嗚呼、翼に賭ける命の過酷さよ。ドロシー・マーロン…

『ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン』(ホウ・シャオシェン/2007)

実のところ今日一番感激を伝えたいのはこの作品。これなら6時間あってもいいヨと思えるほどに、とにかく映画が終わってしまうことを認めたくなく、ラストは幸せすぎて泣いてしまいました。至福の映画体験。ホウ・シャオシェンはパリで撮ったってホウ・シャ…

『赤い風船/白い馬』(アルベール・ラモリス/1956,1952)

シネスウィッチにて。VHSでしか見たことなかった『赤い風船』と初見の『白い馬』。『白い馬』は馬が駆け出せばなるほど映画の画面らしくなるのだなぁと。しかし『赤い風船』と共に”名作”の確認/再確認以上のものは得られなかった。この2作に強い思い入れ…

『南の誘惑』(デトレフ・ジールク/1937)

サークって人は傑作しか撮ってないのだろうか。この邦題もスバラシイ。前半ツアラ・レアンダーを誘惑する=心臓抜き!に成功したキラキラしたペドロ(闘牛というイベントと共に危険な恋のドキドキ感がある!)が、9年後陰鬱な雰囲気で支配者として登場する…

『アパッチの怒り』(ダグラス・サーク/1954)

PFFにてダグラス・サーク2本+銀座にて3本。渋谷駅の通路で青山真治さんとすれ違いました。 なにが素晴らしいってラストカットが、2人がこれから生活を営む家(掘っ建て中)の前だってこと。アパッチが合衆国といかに戦うか/共存するかという、それを…

『ブロンドの恋』(ミロス・フォアマン/1965)

家に帰ってDVDで。思わずハッとさせられるのは少女が唐突に背中を露わにするショットと、この素敵すぎるショット(画像参照)。3作共通してるのはパーティーシーンのギャグが冴えてるとこですね。 ブロンドの恋 [DVD]出版社/メーカー: エプコット発売日:…

『パパずれてるゥ』(ミロス・フォアマン/1971)

69年の残香たゆたう70年代初頭なフラワーな装いの少女たちがギターで弾き語る冒頭、唄声がかなりイケてる。こちらもポップミュージック満載の映画。アイク&ティナ・ターナーまで登場。家出少年少女たちの生態を理解しようと親たちがマリファナパーティ…

『黒いピーター』(ミロス・フォアマン/1963)

PFFミロス・フォアマン特集で2本。上映前にPFF主催者さんの挨拶。「日本語字幕付きフィルム上映はおそらく2度とない」とのこと。また『パパずれてるゥ』はフォアマン自ら上映会を開くほどお気に入りの作品なんだとか。たしかに一部で伝説化してる作…

『世界の涯てに』(デトレフ・ジールク/1936)

こちらは今回の特集に入ってない作品。家に帰ってVHSで。『思ひ出の曲』と対称的に女優の声も低ければ物語もとても重い。しかしこれは極めて美しい作品。少佐を庇って罪を背負う舞台女優(グローリア)が女囚となって彼の迎えをひたすら待ち続けるという…

『思ひ出の曲』(デトレフ・ジールク/1936)

PFFダグラス・サーク特集にて。”デトレフ・ジールク”はサークがハリウッドに渡る前、ドイツ時代の名義。嗚呼こんな幸福な気分になっていいのだろうか!?と思えるほど贅沢な時間だった。主演のマルタ・エッゲルトがその無邪気な振る舞いも含めて可愛くて…

『女優』(ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ/2007)

カーラ・ブルーニのお姉さん、女優ヴァレリア・ブルーニ=テデスキの監督第2作。シネフィルイマジカで。共演にマチュー・アマルリック、ルイ・ガレルと、フランスのトップどころを配置。これがこれがビックリ、大変な傑作だった。ヴァレリア・ブルーニ=テ…

『Sans Titre(無題)』(レオス・カラックス/1997)

第50回カンヌ国際映画祭のためにカラックスが用意した9分の短編。極めて美しい、それでいて「映画=暗闇の中に置き去りにされた孤児」と語るカラックスらしさ全快の作品。傑作です。いや、大好きなんです。 その2。カラックスが手掛けたカーラ・ブルーニ…

レオス・カラックス@映画美学校

http://www.webdice.jp/dice/detail/591/ webDICEにてカラックス講義の模様がアップされてます(司会は青山真治氏)。 故ジャン=イヴ・エスコフィエの話に胸が詰まりました。無口なカラックスを受け入れられるカメラマン。2人は最高のパートナーでしたよね…

ニューヨークのメルド

知り合い(といってもいいか分かりかねる関係なんですが)の映画ライターさんもカラックスの『メルド』を絶賛してらっしゃいました。それ以上は言わないで!(だって20分そこそこの作品でしょ?)という感じでテンションあがってしまった。新たな3部作、…

『目を覚ませ、わが良き友よ』(ピエール・ペロー/1970)

知られざるNFB/ONFドキュメンタリズム。アテネフランセにて。ダイレクト・シネマの旗手ピエール・ペローによる一篇。英語(イギリス)と仏語を公用語にもつカナダ、ケベック州(現在はこの州だけフランス語を公用とするとか)を舞台にした独立と故郷喪失者…

『コロッサル・ユース』(ペドロ・コスタ/2006)

2度目。久保田智子さんのトークショー付きで。テレビで拝見するよりずっと綺麗な方でした。なんでも小津映画が大好きだそうで、例のシンポジウムにも参加したとかいうツワモノぶり。お話はヴェントゥーラという曖昧な存在/その無時間性について。時間を気に…

「フランス映画の秘宝」

なッ、なんですかこれは!?エエエ、全部見たいんですけど。。。 http://www.cinematopics.com/cinema/news/output.php?news_seq=7272 『父帰らず』(30。ジャン・グレミヨン) 『マイエルリンクからサラエヴォへ De Mayerling a Sarajevo』(39。マックス・オ…

菊地成孔DUB SEXTET『DUB ORBITS』

Dub Orbitsアーティスト: Naruyoshi Kikuchi Dub Sextet出版社/メーカー: ewe records発売日: 2008/07/16メディア: CD購入: 3人 クリック: 65回この商品を含むブログ (52件) を見る本年度ベストアルバムが更新されました(来たるべき新生ペペにまた更新して…

『ダブ・オービッツ』はまだ聴けてないけど

http://www.bounce.com/news/daily.php/15041 イタリアといえばニコラ・コンテのアルバムが来月ついにリリース!何度も延期になって、このままお蔵入りするかと思ってたくらいでして。前作のようにクラブジャズのネクストモードを聴かせてほしい。楽しみです…

『魂のジュリエッタ』(フェデリコ・フェリーニ/1965)

魂のジュリエッタ [DVD]出版社/メーカー: アイ・ヴィ・シー発売日: 2005/04/27メディア: DVD クリック: 26回この商品を含むブログ (15件) を見るシネマヴェーラで。フェリーニってすべり台とか好きですよね。『魂のジュリエッタ』やっぱ苦手だなぁ。『女の都…

MERDE!

取り急ぎ青山さんの『MERDE』(レオス・カラックス)評。わぉ!楽しみッ! http://diary.jp.aol.com/applet/wkvgm6xuzxev/20080716/archive ついでに『コロッサル・ユース』7月19日(土)にTBSアナウンサー久保田智子さんのトークショーがあるみ…

『春のめざめ』(成瀬巳喜男/1947)

録画で。思春期の少女少年たちによる題名どおりの作品。先日見た『雪崩』や『驟雨』と比べるとそれぞれの物語が単純化されているからか、個人的に強い思い入れを持てないのだが、それでも、ただ、やはり。素晴らしい細部が盛り沢山に散りばめられている。シ…

『驟雨』(成瀬巳喜男/1956)

『雪崩』も『驟雨』も役者陣が圧倒的に素晴らしいのだけど、この作品の明るくて脆い妻=原節子も最高にファンタスティックだった。一番好きなのは「話がある」と夫に呼び止められた原節子が、にも関わらず台所の流しでご飯を啜る場面。「お腹が空いて泣きた…

『雪崩』(成瀬巳喜男/1937)

成瀬巳喜男を2本。日本映画専門チャンネル録画で。そこに座ってなさいと命づれば、いいよと言われるまで座っている従順な妻(霧立のぼる)の無抵抗に私たちは誰も敵わない。息子の不倫を殆ど感情を介さないかのような言い回しで冷徹に責める/分析する父(汐…

『歩いても 歩いても』(是枝裕和/2008)

とてもよかったです。台所の流しで大根と人参の皮を削るアップ(樹木希林とYOUの会話)から映画が始まることで、早速観客にフレームの外を意識させることに成功している。大根と人参がこの映画の先々のスタイル/文法を示す伏線になるかの如く画面に収ま…

『激怒』(フリッツ・ラング/1937)

VHSで。ラングのハリウッド進出第一弾。荒れ狂う暴動(凄まじいです)の決定的な場面でこのアップ(画像参照)がパッパッパッと挿入され一気に凍りつく。しかしこの映画、スペンサー・トレイシーの闇が強烈。シルヴィア・シドニーもグー。指輪のエピソー…