『南の誘惑』(デトレフ・ジールク/1937)


サークって人は傑作しか撮ってないのだろうか。この邦題もスバラシイ。前半ツアラ・レアンダーを誘惑する=心臓抜き!に成功したキラキラしたペドロ(闘牛というイベントと共に危険な恋のドキドキ感がある!)が、9年後陰鬱な雰囲気で支配者として登場するや、物語は耐える女ツアラ・レアンダーに移行。後半ハバネラを舞い唄う(南米の危険なリズム)彼女の決定的なアップが飛び出すや思わずこちらが心臓抜きにされてしまう。映画は荒波で始まり荒波で終わるシンメトリーな構成。船で母国に戻るツアラ・レアンダーの「後悔はないわ」という台詞に震えがくる。