2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『トスカーナの贋作』(アッバス・キアロスタミ/2010)

渋谷ユーロスペースにてアッバス・キアロスタミの新作。かつてゴダールはカラックスの映画について「カラックスは映画を複雑に撮りすぎる。映画はもっと単純なものだ」と語ったものだけど、果たして映画における「単純さ」とはいったい何のことだろうか?「…

『ヒア アフター』(クリント・イーストウッド/2010)

地元シネコンにてイーストウッド最新作。ああ、こんなにスーッと心の隙間に染み渡るイーストウッドはいつ以来なんだろう?と思うくらい『ヒア アフター』は静かに澄みきっていた。『チェンジリング』における他を寄せ付けない圧倒性ではなく、VFXによる派…

『Mur Murs』(アニエス・ヴァルダ/1981)

ジュリエット・ベルト特集その7。ジュリエット・ベルトは『NEIGE(雪)』を発表した年にアメリカ、ロサンゼルスに渡り、アニエス・ヴァルダのドキュメンタリーに出演している。『Mur Murs』は同時期にアメリカで撮られた『ドキュメントする人』がそうであっ…

『終わった会話』(ジョアン・ボテリョ/1982)

ジュリエット・ベルト特集その6。ジュリエット・ベルトは長編処女作『NEIGE(雪)』を撮った翌年ポルトガルに渡りジョアン・ボテリョの作品に出演している。マノエル・ド・オリヴェイラも出演している『終わった会話』は詩人フェルナンド・ペソアとマリオ・…

『自滅しなさい:静かなる銃』(セルジュ・バール/1969)

ジュリエット・ベルト特集その5。ジュリエット・ベルトは『ウィークエンド』と『楽しい知識』の間にザンジバル・フィルム(映画制作コミュニティ)の作品に出演している。この「自己破壊」と題された作品は68年5月革命の前夜、68年の4月に撮られたと…

『CLARO』(グラウベル・ローシャ/1975)

ジュリエット・ベルト特集その4。ジャン=リュック・ゴダールの『楽しい知識』(1969)で共演したジャン=ピエール・レオが『七つの頭のライオン』(1970)に出演したのと入れ替わるように、ジュリエット・ベルトはグラウベル・ローシャの作品に参…

『Havre』(ジュリエット・ベルト/1986)

ジュリエット・ベルト特集その3。長編監督第3作目にあたる『Havre』。「避難所」もしくは「隠れ家」と題された本作(ジュリエット・ベルトは映画本編とタイトルの関係が3作とも絶妙すぎる!)は、映画作家ジュリエット・ベルトがジャック・リヴェットの最…

『悪党岬』(ジュリエット・ベルト&ジャン=アンリ・ロジェ/1983)

ジュリエット・ベルト特集その2。ジャン=クロード・ブリアリ、ベルナデット・ラフォンら豪華キャストが脇を固める長編第二作『悪党岬』は、決定的に夜の映画だった処女作『NEIGE』とは対照的な、決定的に昼の映画といえる。この「陽光のフィルム・ノワール…

『NEIGE』(ジュリエット・ベルト&ジャン=アンリ・ロジェ/1981)

2010年にシネマテーク・フランセーズで行われた「ジュリエット・ベルト・レトロスペクティブ」ではリヴェットやゴダールの作品は当然のことながら、自身の監督作品(4本)を含め、長編短編合わせて計18本もの作品が上映されるという、『アウトワン』…