『世界の涯てに』(デトレフ・ジールク/1936)


こちらは今回の特集に入ってない作品。家に帰ってVHSで。『思ひ出の曲』と対称的に女優の声も低ければ物語もとても重い。しかしこれは極めて美しい作品。少佐を庇って罪を背負う舞台女優(グローリア)が女囚となって彼の迎えをひたすら待ち続けるというお話なのだけど、少佐は彼女を愛しているものの自らの高い身分に囚われる臆病な男でまったくもって煮え切らない(曰く「女を絶望させる男だ」)。むしろ積極的に動いているのは”待つ女”グローリアの方で望まれない結婚すら受け入れ少佐の元に走るものの。。。教会で少年合唱団が唄う♪グローリア、グローリア♪が肯定にも否定にも導かず、とどまること、只在ることを告げてしまう、とても崇高な映画。『世界の涯てに』という邦題は超秀逸!