『思ひ出の曲』(デトレフ・ジールク/1936)


PFFダグラス・サーク特集にて。”デトレフ・ジールク”はサークがハリウッドに渡る前、ドイツ時代の名義。嗚呼こんな幸福な気分になっていいのだろうか!?と思えるほど贅沢な時間だった。主演のマルタ・エッゲルトがその無邪気な振る舞いも含めて可愛くて可愛くて。映画の最初の方でマルタ・エッゲルトが唄いながら衣装チェンジするという遊び心溢れた幸福な場面(唄声がまた絶品!)があって、唄が終わると庭でそれを聴いていた警備兵(?)が拍手するのだけど、もうこれは同じ気分。一緒に拍手したくなるくらい素晴らしい。そのあとの遊園地の場面では涙、涙の連続。ブランコ(画像参照)とメリー・ゴー・ラウンド(どちらも人力)の多幸感といったらこの上ない。さらに追い討ちをかけるように、この映画は音楽のような作品であります。「人生で命を懸ける価値のあるものは音楽と愛だけだ」。いろいろなシガラミが振り切れてクルクル回る踊りだすよ、がスパークするラスト。パーフェクト!