『女優』(ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ/2007)


カーラ・ブルーニのお姉さん、女優ヴァレリア・ブルーニ=テデスキの監督第2作。シネフィルイマジカで。共演にマチュー・アマルリックルイ・ガレルと、フランスのトップどころを配置。これがこれがビックリ、大変な傑作だった。ヴァレリア・ブルーニ=テデスキはこの作品で「世界の劇場化」に成功しているかのように思える。といったらあんまりにも大袈裟だろうか。


ビルとビルの間に宙吊りにされたグランドピアノが映る冒頭から、これはもう面白いに違いない!と確信させてくれる。40歳手前の女性の焦りを云々〜と聞くと女優の撮ったポートレート的な小品と早合点してしまうのだが、それはゾクゾクするような快感と共に気持ちよく裏切られる。ここにあるのは一人の女性の身振りが、もっともっと大きな身振り=世界へと広がっていくという感動的な物語(脚本はノエミ・ルボフスキー、カメラマンも女性のようです)。冒頭の宙吊りにされたピアノが舞台稽古場でのメトロノームに繋がって皆が人形のように動き出す。そして逃れがたい円環からの脱出をグレン・ミラー楽団が奏でるビッグバンドサウンドが盛大に祝うという、なんのこっちゃですが、まるで音楽のような映画。ヴァレリア・ブルーニ=テデスキの予測不能な一挙一動が魔法のようにキラキラと舞っている。身振り(役者)=音楽(譜面)=映画(物語)ということで。


ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ、すごい才能ですね。必見!