『ウィークエンド』(ジャン=リュック・ゴダール/1967)


アテネフランセにて「音楽家が解読する映画音楽 音と映像の作用/反作用」。本日はゴダール×ジム・オルーク。恥ずかしながら『ウィークエンド』初見なんです。。。なんて楽しい映画だろう!面白すぎて狂ってしまいそうだ。今見直すべきゴダールは『カラビニエ』『ウィークエンド』『万事快調』じゃないかと勝手に思う。以下記憶上のメモ(その場でメモとか取らないので)。


ジムさんの話はケーブルテレビで見た『ウィークエンド』がゴダール初体験だったという話から。自分の音楽に多大な影響を与えているという告白。ゴダールの作品とは映画に対する批評であり、つまるところジムさんも音楽に対する批評としてモノづくりを心がけていると。『ウィークエンド』の最も重要な箇所はモーツァルトが演奏される(ピアノソロ)360度パンの野外の場面(奇跡的な美しさだね)で、このシーンのことなら1年中でも話していられるとのこと。『ウィークエンド』の冒頭10分の長回し(オフィスでの逆光によるミレーユ・ダルクジャン・ヤンヌのエロティック且つ夢魔的且つ精神分析的な会話)で流れるテーマが劇中の全く違うシチュエーションで再び流れるとき、以前とはまるで違う意味を帯びてしまう、というところが面白い。つまりゴダールは音楽で人の感情を操作するなと主張しているのだ、とのジムさんの解釈。モリコーネは音楽単体として聴くのは好きだけど、映画の中では聴きたくない(何故ならそこに感情操作が入るから)とか、『ウィークエンド』は風刺なのか説教なのか判然としない/どちらも正しいのが魅力的なんだとか、やはり話は尽きず。。。


オリヴィエ・アサイヤスとの仕事(『デーモンラヴァー』)は滅法楽しかったのだそうです。なんでも映像が先にあるのではなく先に音源を作ってから映像と同期させていった特殊な仕事だったとか。他、『スクール・オブ・ロック』(リチャード・リンクレーター)の時の話(なかなかに危険すぎて書けない)とか『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(若松考二)の話とか、通訳なしで単語が出てこなくなる度に「ゴメンナサイ」と謝るジムさん(謝らなくていいよ、とこっちが申し訳なくなるほどに)は非常にチャーミングなお方でした。


追記*昨日の講義の補足が菊地さんの日記にアップされてます。
http://www.kikuchinaruyoshi.com/dernieres.php
追記2*菊地さん、ジムさん、両氏が参考文献として挙げていたのは以下の書物。

映画にとって音とはなにか

映画にとって音とはなにか