大谷能生『散文世界の散漫な散策 二〇世紀の批評を読む』

(ブレインズ叢書2) 散文世界の散漫な散策 二〇世紀の批評を読む

(ブレインズ叢書2) 散文世界の散漫な散策 二〇世紀の批評を読む

佐々木敦主催=塾長ブレインズ叢書第2弾。大谷さんの講義録。スゴク面白かった!この本で取り上げられているのは以下の作家による以下の著作。


 宮川淳 『アンフォルメル以後』
 平岡正明山口百恵は菩薩である』
 蓮實重彦『映像の詩学
 生井英考『ジャングル・クルーズにうってつけの日
 吉田健一『時間』


これらの作家の批評/文体の切り口が大谷さんによって鮮やかに語られている。吉田健一の回は彼の著作を生徒に朗読させるだけというのが可笑しい素晴らしい。バシェラール→宮川淳の「マチエールからイメージへ」のお話もよいのだけど個人的に興味を持ったのは一際魅惑的なタイトルの『ジャングル・クルーズにうってつけの日』ですね。菊地成孔氏が曲名につけていたときから相当気にはなっていたのですが、このような書物だったのですか。未読です。必ず読みます。というか映画に興味があるなら読んだ方がよさそうですね。ベトナム戦争時、メディアへのイメージ=映像=情報(操作)戦略として、何故旧時代的な戦闘機であるヘリが使われたか?面白すぎるッ。このシリーズ、現在開講中の赤坂大輔氏の講義録は出るとして来年の今頃くらいでしょうか。非常に楽しみです。


ところで菊地さんも大谷さんも毎回挙手によるモニター調査から授業始めますよね。「モグリの人?」で毎回挙手させられた記憶が。東大ジャズ講義、懐かしい。

小泉今日子「戦う女 パンツ編」収録。蓮實・黒沢・青山3氏の鼎談も第3回目。ホセ・ルイス・ゲリンの話が出ています。改めてやっぱシャブロルってよいよね、と思いました。あと対談ものといえば、スタジオボイスの菊地―宇川対談も非常に面白かったです。てか、ほとんど宇川さん特集だわ。