『Adieu au Langage』 et 『Holy Motors』



まずはアンディ・ウォーホルによるデニス・ホッパーと、デニス・ホッパーによるアンディ・ウォーホルを二枚並べた、架空の切返しの図から。


http://marieruchat.com/tournage-avec-j-l-godard/
http://marieruchat.com/tournage-avec-j-l-godard/
ジャン=リュック・ゴダールが3Dに挑む現在撮影中の新作『Adieu au langage』から新たなスチールが3枚アップされていました。これは『Adieu au langage』に出演している女優のMarie Ruchatのサイトにアップされていたものです。既出スチールや情報に関してはIONCINEMA誌による「2013年、期待の映画100本」特集、簡単なシノプシスに関してはWild Bunchの『Adieu au langage』公式サイトで確認できます。アメリカでの配給はなんと20世紀FOX社!今年のカンヌ国際映画祭への出品が見込まれているそうです。


現在オーディトリウム渋谷では「逆襲のジガ・ヴェルトフ集団+JLG」「ゴダール/新世紀の起源 De l’origine du nouveau siècle」と題してゴダール特集上映が行われています。
http://a-shibuya.jp/


http://www.hammertonail.com/interviews/a-conversation-with-leos-carax-holy-motors/
こちらはレオス・カラックスのインタビュー。最新のものではないですが興味深い発言をいくつかピックアップしてみようと思います。


「”怒り”は僕を初心に戻させてくれた。構想していた企画がフランスでは全て流れてしまったんだ。僕はフランスにおける謂わば”病”だね。『Tokyo!』(『メルド』)まで映画を作ることが叶わなかった。東京でドニ・ラヴァンと日々を振り返る間もないくらいのスピードでデジタルの映画を撮った経験を活かしたんだ。『ホーリー・モーターズ』を撮るなら、パリで素早く撮ろうと決めた。そうすれば制作の資金を見つけるのも容易になるだろうからね。」


「『ホーリー・モーターズ』はおそらく僕の作品の中で最も無意識が反映された映画だ。撮影で何をしたかをいちいち見直したりしなかったからだと思う。撮られたものに左右されることはなかったんだ。」


「『ポーラX』に出演したカテリーナ・ゴルベワにE.T.A.ホフマンの小説を教えてもらったんだ。それはホテルの一室にオペラハウスへの秘密の通路があることを見つけてしまった男の物語だ(注*カラックスはインタビューの中で作品名を明かしていないのですが、『ドン・ファン』と推察する批評があります)。男は部屋に行き、オペラを見て、女性と恋に落ちる。素晴らしいアイディアだと思ったね。「私の部屋の前に以前は無かったはずのドアがある」というカフカの一文を思い出すね。僕はこのホテルの一室にある秘密のドアというアイディアを劇場に繋がるドアとして改変した。」


「『ホーリー・モーターズ』は映画の歴史やジャンルを示そうというアイディアが出発点ではない。僕は映画の言語を使ってこのサイエンスフィクションの世界を作った。願わくば映画についての映画とは思われたくないね。」


「自分の作品を見直すことはない。常に僕の中に生き続けているけどね。僕はレファレンスが嫌いだ。でも唯一意識的に自分の過去の作品からのレファレンスを利用したシーンがある。モーション・キャプチャーのシーンだ。ドニ・ラヴァンがベルトランナーの上を走る。これは僕の二作目『汚れた血』のデヴィッド・ボウイの曲が流れるシーンからのレファレンスだ。」


「『ホーリー・モーターズ』は現代を生きることに関する映画だ。リアルなアクションとフェイクなアクションの対立に関する映画だ。」


「『ホーリー・モーターズ』を編集しているときに、この作品はチャップリンの『モダン・タイムス』に近いのかもしれないと思った。」


「僕にとって編集は音楽のようなものなんだ。作曲家になったような気分になれるんだよ。」


別記事で『ホーリー・モーターズ』がLA批評家協会の外国語映画賞を受賞したレオス・カラックスが寄せたメッセージ(授賞式には欠席:受賞を拒否したとも言われています)が紹介されていました。「外国語映画は世界中で作られている。アメリカを除いてね」など、”外国語映画賞”ってそもそもなんやねん!という皮肉でいっぱいの文章(賞賛されています・笑)だったのですが、最後のセンテンスはとても美しいものでした。


「そもそも映画とは、もうひとつの人生を旅する必要がある人のために創られた言語(外国語)なのです。」


ホーリー・モーターズ』の日本版公式サイトができたようです。ユーロスペースほかにて4月公開&全国順次ロードショー!
http://www.holymotors.jp/


レオス・カラックスも来日する「第16回カイエ・デュ・シネマ週間」@アンスティチュ・フランセ東京も今日からスタート!フィリップ・ガレルジャン・グレミヨンジャン・ルノワールの作品を上映するという、カラックスへの白紙委任状のような内容。アラン・レネの新作もやるよ。
http://www.institutfrancais.jp/tokyo/events-manager/cc2013/


ミゲル・ゴメスやジャン=アンリ・ロジェのことも書きたかったですが、長くなってしまったので繰り越しで。最後にハーモニー・コリンの『スプリング・ブレイカーズ』の最高に楽しい公式予告編がアップされたので貼っておきます。あんまり最高な予告編なんで、まだ見ていない映画のようにワクワクしちゃってます。日本ではこの夏に公開が決まったようです。水着ギャル対ギャングスタブリトニー・スピアーズ!『スプリング・ブレイカーズ』の夏が来るだなんて素敵じゃないですか。再会をとても楽しみにしています!