『憐 Ren』(堀禎一/2008)


妄想少女オタク系』の堀禎一による新作。川沿いの自転車、といえば一昔前の自主映画の定石と思ってしまうのだけどこの作品のそれは定石と似て全く非なるもの。2人の漕ぐ自転車を正面からの移動撮影で長々捉えるというのは(ましてや夜もある←泣ける。アウトテイクっぽい夜の全速力チャリも見たかった)意外や結構見ない。『妄想少女オタク系』でも少女の自転車移動が多かったことを思い出した。高校生たちが日々繰り広げるバスケの全景が余りにも素晴らしい。バスケってこんな風に画になるもんなんだねーという驚き。少年少女たちの並びもいい。「仲良しごっこの何が悪いの?みんながどんな気持ちでそうしてるか何で分からないの?分かってないのはアキヒトだけだよ!」(大意)という憐(少女)の台詞に心から胸を打たれる。結局みんな一人なんだということを自覚しながら「仲良しごっこ」をする高校生たち、その一生懸命が切ないし、それはきっと真理だし、だからこそ、、、というかなり核心を突いた台詞。涙。打ちひしがれた高校生たちが夜、焚き火の前で佇むラスト13分にも及ぶ定点カメラの長回し。その途方に暮れてしまうショットを一体どういったらよいか分からないのだけど、確実に素晴らしいと断言できる。個人的に少し残念だったのは取っ組み合いの場面におけるカメラのブレが雑に見えたこと。でもそんなことは大した欠点にならない。傑作です。


ところで馬場徹くん、どんどんカッコよくなってますね。なんでもお兄さんはジェフ千葉で活躍するJリーガーなんだとか。かなりお気に入りです。