『コリントへの道』(クロード・シャブロル/1967)


輸入DVDでクロード・シャブロルジーン・セバーグ『コリントへの道』。英題を『The Road to Corinth』又は『Who's Got the Black Box』。よくいわれるヒッチコックからの引用/影響云々より、同時代の、例えば『唇からナイフ』(ジョセフ・ロージー)のようなスパイ映画との親和性がより高いと思う。『リリス』(ロバート・ロッセン)以後のやけに楽天的なセバーグが楽しい(ただホッとさせるだけではなく、不安にもなるのだが、月の女の宿命か)。これはジーン・セバーグのためにあるような作品。たとえ崖っぷちにクレーンで吊るされようとセバーグの身のこなしは軽やかに陰惨な事件をすり抜ける。いつの間に牢獄から出たのかさえ忘れさせてしまうほどに。「私を探して」とばかりに墓場での拉致の最中、薔薇の花弁を一枚一枚落としていくセバーグに涙。陰と陽、裏返しの美しさ。眩い空撮!