『玄海灘は知っている』(キム・ギヨン/1961)

初キム・ギヨン。日本軍部内における朝鮮人の扱いを描くということで、ほぼ日本人しか出てこないという設定なのに、全編韓国語、「ナカム〜↑ラさん」という発音がやけに耳に残るようないい加減さは大好きなのだけど、いやいや、頻繁に挿入されるあの名古屋城(?)の空絵はなんなのだ?(笑)とか、ひな祭りのかなり中途なダンスとか(全体的に奇妙な映像のカットアウトなのですが)、もうこの作品について多くを語るのはやめたくなる。たとえばサイレント期の貴重なロストフィルムで映像や音声の欠陥があったとき、多くの方はこれは貴重な機会だと固唾を呑んで見守るものですが、キム・ギヨンの場合、なんだかギャグになってしまうという。このギャグになるというのも、かなりの曲者で、青山真治氏の仰るとおり、見た後、かなり体調が悪くなるという。戦前とか戦後とか越えてリアル怨念ビデオ、心的外傷を見せられるような。あの死体の山と、アロウン(主人公)のゾンビっぷりは忘れたくとも忘れられようがない。ウウゥ、。。