Tindersticks + Claire Denis


ティンダー スティックス+クレール・ドゥニの特別ツアーが羨ましくて『ネネットとボニ』のサントラを中古屋さんで購入しました。というかクレール・ドゥニのファンとしては未公開のものを含め、おそらくすべて見ているはずなのですが、ここまで音楽が素晴らしいとは・・・。今回発売されたBOXのクオリティーの高さに驚いています。『侵入者』や『ホワイト・マテリアル』のジャームッシュ『デッドマン』並み(いやそれ以上に)にずっしりとくるフィードバック・ギターや、『35 Rhums』の鉄道風景を彩る哀愁のメロディカ(余談ですが青山真治監督の『赤ずきん』にもメロディカが船の風景と共に流れます)。そして何より一番気に入ったのが『ネネットとボニ』の「ルンバ」でした。しかしこうやってクレール・ドゥニフィルモグラフィーを列挙するだけで、特に90年代〜ゼロ年代にかけての彼女の仕事が、いかに特異な領域に進みつつあるかを思い知らされますね。ティンダー スティックス+クレール・ドゥニについては吸い込まれるように美しい以下の動画をご覧ください。

Nenette Et Boni

Nenette Et Boni

Claire Denis Film Scores 1996-2009

Claire Denis Film Scores 1996-2009


前回はThe Alps『Easy Action』のことを書き忘れていました。このアルバムは最近の大ヒットです。サイケデリックなジャケットも見ていただければ分かるとおり、これからの暑い季節にもちょうどいい。ところで昔から圧倒的な冬派なのですが、近年は夏もいいなと思い始めています。さて、1曲目を聴いた瞬間ボアダムスとアクロン・ファミリーの今年出た新譜の間のような作品かな、と思ったものの、トライバルな感じではなく、あそこまでトランシーに緊張するわけでもないこのアルバムは、エレクトロニクスによって緊張を緩和されたクラウトロックのようです。ときにサーストン・ムーアの瞑想的なギターの領域さえ踏み込んでしまいそうな、しかしまるで演奏の熱さ/暑さをリバーブによって外に逃がすかのような処理は避暑地的トロピカリアンな趣きすら感じます。いまのところCDでの発売はないようなので今後に期待したいところですが、CD化された際はこのLPジャケットの仕様(組み立てるとピラミッドになる)も是非再現してほしい。



さて、The Alps『Easy Action』と同じ文脈で愛聴しているのがPeaking Lights『936』。チルウェイヴはたしかに好きなんだけど、やっぱそこから一歩か二歩脱臼させた展開が好みらしいです。昨年のRangers『Suburban Tours』みたいに。こちらはダブが骨子にあります。最近エリアル・ピンクの旧譜を集めているのだけど、エリアル・ピンクの音楽が何故かこの辺とリンクしていくのも面白いです。どういう思考回路でああいう音楽作ってるのか本当に訳分からない人ですけどね(笑)。

Laced

Laced

ちょっと過激な方向でリンクするのがPsychedelic Horseshit。FAT CATですよ。このアルバムは傑作だわ。ジャンクのようなヨレヨレなボーカルに最初不安を覚えたものの、その後の展開が素晴らしすぎた。リズム!アシッド!リズム!アシッド!ノイズ!という感じ。チルさせながら覚醒させる。つまりすんごいパンキッシュ。最終的にこのボーカルが好きになった。よくよく聴くとストロークスみたいな声だしね。
Ducks: Live in NYC

Ducks: Live in NYC

メルツバウ!ある意味清涼剤として聴いています。このドラムいいね。新譜系では個人的にも楽しみにしていたし話題沸騰のTyler,The Creatorも素晴らしくて聴いてるけど、いまひとつ言葉にできないや。オッド・フューチャー関連のMIX-CD聴くだけで膨大ですよね。あと昨日の続きで90年代前半のアメリカの風景、またはグランジということでマッドハニーを聴いています。このジャケットの汗臭い感じがいまはむしろオッケーです。サウンドはファズ!ファズ!
Superfuzz Bigmuff (Dlx)

Superfuzz Bigmuff (Dlx)


ローラーガールズ・ダイアリー』の爆音上映を楽しみに生きている近頃です。
http://www.bakuon-bb.net/2011/