2014年ベスト 50枚 〜音楽編〜


1.Warpaint『Warpaint』

Warpaint

Warpaint

ベスト・オブ・ベストは迷うことなくウォーペイントの新譜。待ちに待っていた今一番好きなバンド。1曲目のイントロが鳴った瞬間、凍りつくような緊張が走り、"リムショットの魔術"(ローレン・メイベリーの素晴らしい批評より)は鋭利な洗練を極めていく。ウォーペイントの音楽と同時代に生きる幸せ。彼女たちの奏でる音楽をぶっちぎりに愛してます!


2.Life Without Buildings『Any other city』

Any Other City

Any Other City

2014年の作品ではないけど、やっと出会えた作品。ラフトレード、グッドジョブ!2003年のラフトレのコンピに入っていたときから長い間ずっと耳に残っていたこのオリジナリティ溢れる歌声。細かいジャブの乱れ打ちのような独特な歌のリズムの刻み方に震える。たった一枚のオリジナル・アルバムを残してLife Without Buildingは解散してしまった。決して早すぎたわけではない。過剰な情報の速度に見過ごされてしまう、ということもあるのだ。奇跡のように美しいアルバム。


3.Peaking Lights『Cosmic Logic』

Cosmic Logic

Cosmic Logic

男女スモーキー・デュオによる最高傑作。前作からその傾向はあったものの、ここまで跳ねるリズム主体で攻めてくるとは。ステレオラブYMOの1stに出会ってグイッと初期ハウスミュージックに転換していくかのような楽天性が最高に心地よい。


4.O.S.T『God Help The Girl』

God Help the Girl

God Help the Girl

いつも聴いていたのはこのサントラ。映画の一つ一つのシーンを思い出しては涙ぐんでいました。可憐なエミリー・ブラウニングの声を欲したスチュアート・マードッグは実に音楽家。未使用曲もまた楽しい。サンキュー、スチュアート!


映画『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』への記事はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/maplecat-eve/20140909


5.Gemma Ray『Milk for your Motors』

Milk for Your Motors

Milk for Your Motors

シンガー・ソングライター、ジェンマ・レイの新譜。ハイジ・ハッピーの傑作アルバムと共に愛聴していました。またはShe & Himの素晴らしい新譜と共に。オールディーズ・テイストな曲が特に好きだ。メロディーの復権!「Shake Baby Shake」。


6.D´Angelo『Black Messaiah』

BLACK MESSIAH

BLACK MESSIAH

年末に突如リリースされた14年ぶりの新譜。待ちくたびれすぎて既に待つことを忘れるぐらいだったのに突然ですよ。本物の違いを思い知る。今年一番"ブラックミュージック!"を強く感じたアルバム。恐るべきアルバム。


7.Pharrell Williams『Girl』

GIRL

GIRL

待ちに待った我がアイドル、ファレル・ウィリアムスの新譜。私的ベスト・トラックはジャスティン・ティンバーレイクとの「Brand New」。ジャクソン5のように楽しいじゃないか。


8.La Sera『Hour of the Dawn』

Hour of the Dawn

Hour of the Dawn

ヴィヴィアン・ガールズの解散は悲しすぎたけど、ケイティのこのプロジェクトによる新譜は、まるで解き放たれたかのように風通しがよい。このアルバム一枚でギャルバンのトップに躍り出た感すらあるね。楽曲に対するギターのアプローチが秀逸。


9.She & Him『Classics』

Classics

Classics

一つ一つの音を粒子レベルにまでヴィンテージに切り刻んでいくこの作品には、アメリカン・ポップスの夢が溢れんばかりに詰まっている。こんな「アンチェインド・メロディ」のカヴァーがかつてあっただろうか?M.ウォードによる徹底的なこだわりに泣かされる。そしてズーイー・デシャネルの歌はまるで「エンド・オブ・ザ・ワールド」を歌うナンシー・シナトラのようだ。最高傑作。


10.Perfect Pussy『Say Yes to Love』

Say Yes to Love

Say Yes to Love

定期的に現れるキンキン声のライオット・ガール・バンドか、と思いきや、驚くほど洗練された音の重ね方に驚かされる。ラウド、なんだけど、気品すら感じるね。


11.くるり『THE PIER』

THE PIER (通常盤)

THE PIER (通常盤)

くるり会心の新譜。岸田くんが若い頃には避けたかもしれないメロディーラインも音楽的な経年によって魔法のような輝きを放っている。鋭利さは失わないまま。まさにロックンロール・ハネムーン!くるりの音楽と共に歳を重ねる。最高のクリスマスソングに涙。


12.Kindness『Otherness』

OTHERNESS [解説・歌詞対訳 / ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC442)

OTHERNESS [解説・歌詞対訳 / ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC442)

一曲目から持っていかれた現代のブルー・アイド・ソウル。昨年のブラッド・オレンジ(参加している)以上の驚き。このアルバムを今年のベスト1にする人、めちゃくちゃ理解できる。


13.Literature『Chorus』

Chorus

Chorus

リバティーンズネオアコをやったらこんな風になりそう。2014年のキラキラ・ギターポップ、一番星。


14.Metronomy『Love Letter』

Love Letters

Love Letters

サマソニのライブが忘れられない。素晴らしいアクトだった。ドラムの女の子とベースの黒人さんのダンスの振り付けがキュートすぎて涙出る。「Resevoir」は今年のベスト・キラーチューン。クリスチャン・ヒメネスの映画でも流れていたよ。


15.Prince『Art Of Official Age』

ART OFFICIAL AGE

ART OFFICIAL AGE

プリンス、会心の新作。


16.Sisyphus『Sisyphus』

Sisyphus

Sisyphus

スフィアン・スティーヴンスのHIPHOPプロジェクト。エレクトロHIPHOP。面白い!初期HIPHOPみたいなライミングのリズムがまた素晴らしい。


17.Mr.Twin Sister『Mr.Twin Sister』

Mr. Twin Sister [解説/ライナー+歌詞/対訳+帯]

Mr. Twin Sister [解説/ライナー+歌詞/対訳+帯]

Twin Sister改めの待望の新譜。さすがの傑作。彼女たちは本当に宙に音をなぞるように奏でる。と同時に、ここにステレオラブの発展系を見る。


18.Hospitality『Trouble』

Trouble

Trouble

ヴァンパイア・ウィークエンドが都市生活者のサウンドトラックなら、ホスピタリティにはアートスクールのリアリティーとでも言いたくなるようなほんのり尖った甘酸っぱさがある。女性的というより、とても「娘」的なところが魅力的なバンドだ。1stも傑作。
Hospitality

Hospitality


19.Tune-Yards『Nikki Nack』

Nikki Nack

Nikki Nack

こんないいバンドだったっけ?というくらい驚いてしまった新譜。雑多な音楽性の根底にブラックミュージックへの憧憬が真摯なほど感じられるところがまた素晴らしい。


20.Aphex Twin『Syro』

エイフェックス・ツインの新譜!実はあまり期待してなかったんだけど、素晴らしいじゃないか。どこをとってもエイフェックスらしい音の中に、色気すら感じるようになった。


21.Shabazz Palaces『Less Majesty』

LESE MAJESTY (IMPORT)

LESE MAJESTY (IMPORT)

ガチでドープなんだけど!な、前作よりだいぶ聴きやすくなったけど、十分レフトフィールドな新譜。ヴィンス・ステイプルズとはまったく別の文脈でブルースの亡霊を感じる。


22.Mode Moderne『Occult Delight』

Occult Delight

Occult Delight

ジョイ・ディヴィジョンとかスミスとか想起するけど、楽曲がいいね。長く愛聴してます。


23.Thee Oh Sees『Drop

Drop

Drop

この素晴らしいアルバムを残して残念ながら活動休止してしまったThee Oh Sees。私的現代ロックンロールバンドで3本の指に入るバンドです。爆裂サイケガレージが徐々に理想的なヴェルヴェッツ的音の重なり、広がりを見せていただけに残念すぎる。


24.White Fence『For the Recently Found Innocent』

For the Recently Found Innocent

For the Recently Found Innocent

タイ・セガール君とも交流のある(ミックスを担当している)アメリカ人、なんだけど、ブリティッシュな質感、曇天の空模様を想起させるのはドラムのパシャパシャ感ゆえか。マイカル・クローニンの1stと共にタイ君のベストワーク。


25.坂本慎太郎『ナマで踊ろう』

ナマで踊ろう

ナマで踊ろう

前作は物凄い評価の高さに反して聴き込むことはなかったのだけど、この新譜には唸らされた。「義務のように」のサックス、最高。


26.Les sins『Michael』

Michael

Michael

トロイ・モアのエレクトロニック・プロジェクト。実のところトロイ・モアより好きかも。ハウスミュージックへのアプローチの仕方にダフトパンクのトーマがやってたスターダストを思いだす!


27.Kelis『Food』

Food [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC411)

Food [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC411)

いつの間にかニンジャチューンからのリリースになっていたケリスの新譜。ポリリズミックでスピリチュアルな作風になっていた。「Hooch」、素晴らしい。とても刺激的な内容の中、アコースティックで奏でられる曲に涙。


28.Foxygen『...And Star Power』

Foxygen & Star Power

Foxygen & Star Power

1stはミック・ジャガー。2ndはジョン・レノンな変幻自在な歌声だったフォクシジェンの大作。横断的な音楽性はより強度を増している。オールディーズ的なコーラスワークに焦点を当てた曲が素晴らしい。傑作!


29.The Primitives『Spin-O-Rama』

Spin-O-Rama

Spin-O-Rama

プリミティヴズには決して失われないものがある。たとえばブロンディが昔の曲を再録したときに失っていたものがないのだな。プリミティヴズは永遠に現役のキャンディ・ポップ。


30.Ariel Pink『pom pom』

pom pom

pom pom

ずっと聴いてると頭がおかしくなりそうな天才アリエル・ピンクの新譜。気持ち悪くなるくらいポップ(笑)。完全にクレイジー。最高です。


31.Philip Selway『Weatherhoue』

Weatherhouse

Weatherhouse

レディオヘッドのドラマーの新譜。前作に引き続き、いやそれ以上に思いがけない音のサラウンドに出会える素晴らしい出来。


32.Cibo MattoHotel Valentine』

ホテル・ヴァレンタイン

ホテル・ヴァレンタイン

超待望の復帰作。二人のソロは常に追っていたけど(どの作品もめちゃくちゃスキです)、やっぱチボ・マットはいいね。聴き込めば聴き込むほど細かい発見が次々と現れるアルバム。


33.Perfume Genius『Too Bright』

Too Bright

Too Bright

パフューム・ジーニアスの新作は一人シネマティックなアルバム。これは物語がある人の作るアルバムだ。傑作。


34.Jose James『While You Were Sleeping』

While You Were Sleeping

While You Were Sleeping

ホセ・ジェイムズの新譜。楽曲に対するドラムの特異なアプローチが好きだ。グルーヴィー。


35.Grouper『Ruins』

Ruins

Ruins

雨の日に聴くと完全に持っていかれる極上アンビエント


36.Ava Luna『Electric balloon』

ストパンクなんだけど、アヴァン・ポップmeetsブラックミュージックへの方向性にこそグッとくる。


37.Dum Dum Girls『Too True』

TOO TRUE (IMPORT)

TOO TRUE (IMPORT)

ギャルバン好きといえど、実はいままであまりピンとこなかったダム・ダム・ガールズだけど、新譜は文句なく素晴らしい。たしかにスミスのカヴァーとかしてたけど、ここまで楽曲の幅を広げられるとは思ってなかった。アコースティックで奏でられる「Are you Ok」を繰り返し聴く。号泣。


38.September Girls『Cursing the Sea』

CURSING THE SEA

CURSING THE SEA

一言でいえばゴス!なところが素晴らしいギャルバン一番星のデビュー作。新作EPを聴く限り、これからの展開が楽しみです。
Veneer (12

Veneer (12") [Analog]


39.Heidi Happy『Golden Heart』

スイスのシンガーソングライター、ハイジ・ハッピーの新譜。素晴らしい!とても幅広いバックグラウンドを感じさせるアーティスト。「EYES CLOSED」のアコーディオンが効果的なダークな展開に唸らされる。ジャケットが素晴らしい。


40.Medicine『HOME EVERYWHERE』

HOME EVERYWHERE (ボーナスディスク付 2CD版)

HOME EVERYWHERE (ボーナスディスク付 2CD版)

メディスンといえば耳の周りを虫が飛び回るような独特な音使いが癖になるバンドで大好きなのだけど、この新譜は中期ビートルズがシュゲイザーに出会ったような、その構造以上にメロディーの復権ぶりにも感動する大傑作。中期ビートルズについては今年いろいろと思い返すことが多かった。


41.Parquet Courts『Sunbathing Animals』

Sunbathing Animal

Sunbathing Animal

ペイヴメントをシンガーソングライター的に聴くなら、現代のそれはパーケイ・コーツに受け継がれている。


42.The Men『Tomorrow´s Hits』

Tomorrow's Hits

Tomorrow's Hits

私的現代ロックンロール・バンドの一番手、ザ・メンの新譜。毎年新作をリリースするけど、どんどん出していったらいいと思うよ。勢いの中にこそトラディショナルで新しい何かが生まれるバンド。


43.Flying Lotus『You´re Dead!』

You're Dead! [輸入盤CD] (WARPCD256)_005

You're Dead! [輸入盤CD] (WARPCD256)_005

前作はこれをフライング・ロータスに演られても…とまったくのれなかったのだけど、新譜のジャズへの距離感は実に素晴らしい。フランク・ザッパみたいだ。


44.Ab-Soul『These Days』

アブソウルのジャックナイフなライミングに切られっぱなし。相変わらずトラックは刺激的。何より声のキレとかリズムのキレとか、どうしてこんなに切実に迫ってくるのだろう。


45.Vince Staples『Hell Can´t Wait』

Hell Can Wait

Hell Can Wait

まるで戦前のブルースの亡霊がHIPHOPに反響しているかのような変異的超常現象な傑作。


46.A Sunny Day in Glasgow『Sea When Absent』

Sea When Absent

Sea When Absent

2014年のシューゲイズ、一番星。音の厚みと女性ボーカルの絶妙な軽やかさ。これも構造よりメロディーの復権を感じる傑作。


47.The Coathangers『Suck My Shirt』

Suck My Shirt

Suck My Shirt

見事なポスト・パンク・ギャルバンド。去年のサヴェージズもよかったけど、個人的にはこっち。


48.Blonde Redhead『Barragan』

Barragan

Barragan

ファースト・インパクトは正直あまりよくなかったし、ブロンド・レッドヘッドはやはり初期の尖り具合が忘れられないのだけど、聴き込むほど彼らの音楽的成熟と新たな野心に敬意を感じるようになった新譜。素晴らしいと思う。


49.James Blake『200 Press』

新作EP。賛否両論だった2ndはデビュー作以上に好きでした。若者的ソウル・ミュージック!


50.J.Cole『2014 Forest Hills Drive』

2014 FOREST HILLS DRIVE

2014 FOREST HILLS DRIVE

この方のライミングが一番ストンと落ちる。HIPHOPというより、シンガーソングライターのように聴いてるのかも。どこをどうとってもHIPHOPなのだけど。J.Coleは自分にとってそんな存在。前作はいまだに聴いてる。


去年長らく勤めていたレコードショップを辞めてしまったので、音楽との関わり方が大きく変わってしまうのではないかと恐れていたものの、あまり変わらなかったですね。ただどうしても自分の好きそうなものにしか近寄らなくなっていくなあ、とは思っています。アイドル、まったく聞かなくなった(笑)。趣向が元に戻ったともいえるけど。元同僚の愛すべきマーくんこと、マーライオンの新譜乱れうちを未聴なのが心残り。不義理、ごめんなさい。近々必ず聴きます。

ボーイミーツガール

ボーイミーツガール


最後に、ヴィヴィアン・ガールズの思い出に。渋谷、下北、楽しかった。