2009-01-01から1年間の記事一覧

『かもめ』(マルコ・ベロッキオ/1977)

スコリモ、ウルマーと悉く日程が合わず縁がないのかなーと思っていた法政大学にてマルコ・ベロッキオ。本日2本上映された内のこちらは2本目。と書き出してみたものの、この作品についていったい何を語ったらよいのか困る。まとまったことを書けそうもない…

『サブウェイ123 激突』(トニー・スコット/2009)

地元シネコンレイトにて。おおお!なんというクロスカッティングの鬼!この作品の9割はデンゼル・ワシントンとジョン・トラボルタのクロスカッティング(又は切り返し)のみで出来ていて、しかもその内の7割近くの時間、2人は移動すらしない、指令室と地…

『ミーポック・マン』(エリック・クー/1995)

こちらはフィルム上映。冴えない青年と娼婦って設定がどこかツァイ・ミンリャンぽいなーと途中までは思っていたのですが、ひとまず「何処か遠くへ行きたい女」と「此処に留まり続ける男」の物語といえる。映画の後半、青年が女性を拾い家に持ち帰るあたりか…

『12階』(エリック・クー/1997)

シンガポール映画祭@シネマート六本木にてエリック・クー作品。エリック・クーといえば、昨年のカンヌのコンペティション部門で上映された『私のマジック』(東京国際映画祭でも上映)がカイエに取り上げられていたり、日仏学院で上映された『一緒にいて』…

『ドキュメントする人』(アニエス・ヴァルダ/1981)

これも面白かった。日本語同時通訳で。幼い頃のマチュー・ドゥミ少年はガス・ヴァン・サントの映画に出てくるような美少年。なんて綺麗な顔立ちをした少年だろうか。さて、ここでも浜辺が出てくる。タイプライターを打つ女性(主人公)の背中の向こう窓の向…

『コートダジュールの方へ』(アニエス・ヴァルダ/1958)

こちらはゴダールが賛辞を贈っている傑作短編。誰にも聞こえないように小さく拍手をしてしまいました。素晴らしいです。空絵が中心なのですが、横への動きの途中で急激に上昇しピタりと止まるカメラにビクッとする。人為が描き出す楽園が崩壊して、すべての…

『オペラ・ムッフ』(アニエス・ヴァルダ/1958)

こちらは初期傑作短編。ヴァルダらしい模様と身体の形への執着の傍らで、ちょっとシュールレアリスティックな表現も面白い。ヴァルダの好きな模様って、砂丘にできた綺麗な渦巻きとか、美しい木目とか、壁にできたウネリとか、浜辺、波の形と常に関係してい…

『ダゲール街の人々』(アニエス・ヴァルダ/1976)

こちらはダゲール街の一部の地区を追ったドキュメンタリー。これも珠玉の傑作でしたね。ドラキュラ伯爵のように不敵な笑みでマントを広げる男性が冒頭に出てくる。この作品でまず面白いのはこのようなユーモアたっぷりの、バカバカしいモンタージュでしょう…

『女性たちの返事』(アニエス・ヴァルダ/1975)

こちらは短編。英語字幕付き。世界において女性たちが曝されている視線への考察。女性の身体がオブジェ化する。オブジェ化されながら尚強い視線をこちらに向け続ける複数の女性たちの「切り返し」として複数の男性の視線が描写される。

『創造物』(アニエス・ヴァルダ/1966)

日仏学院にて『アニエスの浜辺』公開記念*特集「アニエス・ ヴァルダの世界」2日目。たとえばヴァルダの代表作『幸福』(1965)が苦手という人がいたら、今回の特集でアニエス・ヴァルダという作家へのイメージを一旦リセットした方がよいと思う。ヌー…

川上未映子『ヘヴン』

ヘヴン作者: 川上未映子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/09/02メディア: 単行本購入: 12人 クリック: 271回この商品を含むブログ (237件) を見るこのところ川上未映子さんの初長編作『ヘヴン』にすっかりやられてしまっている。なんとまあハードコアな…

『ヘルブレイン』(モンテ・ヘルマン/1989)

モンテ・ヘルマンは本作から『Stanley's Girlfriend』(『デス・ルーム』に収録)まで映画作家としては17年間の沈黙を強いられる。なんてこった。この企画物を60〜70年代の途方もない傑作群と比べてしまうのは酷だし、いくらヘルマン作品といえどマス…

『コックファイター』(モンテ・ヘルマン/1974)

コックファイター [DVD]出版社/メーカー: キングレコード発売日: 2002/10/02メディア: DVD クリック: 11回この商品を含むブログ (8件) を見るモンテ・ヘルマン特集、その4。久々の再見。ウォーレン・オーツが口を利かなくなるキッカケとなったホテルでの闘…

『銃撃』(モンテ・ヘルマン/1967)

銃撃 [DVD]出版社/メーカー: キングレコード発売日: 2005/04/06メディア: DVD購入: 1人 クリック: 19回この商品を含むブログ (11件) を見る異色西部劇というより不条理西部劇。この凄まじい傑作を未見の方は西部劇を見るというより『内なる傷痕』(フィルッ…

『断絶』(モンテ・ヘルマン/1971)

断絶 コレクターズ・エディション [DVD]出版社/メーカー: キングレコード発売日: 2007/02/07メディア: DVD クリック: 60回この商品を含むブログ (15件) を見るモンテ・ヘルマン特集、その3。サマー・オブ・ラブの夢去りし1971年、「花のサンフランシス…

『旋風の中に馬を進めろ』(モンテ・ヘルマン/1965)

旋風の中に馬を進めろ [DVD]出版社/メーカー: キングレコード発売日: 2005/04/06メディア: DVD クリック: 8回この商品を含むブログ (12件) を見るこちらはモンテ・ヘルマンをリスペクトするタランティーノのお気に入り作品。ちなみにタラ氏は『フライト・ト…

『バックドア・トゥ・ヘル』(モンテ・ヘルマン/1964)

こちらは輸入DVDで。フィリピンロケで撮られた戦争映画。激しい銃撃戦の末、小屋を包囲したつもりの一部隊が、ふと見渡すと無数の銃を向けられていた、という冒頭からまず魅せてくれる。これは本日の『魔の谷』『旋風の中に馬を進めろ』の2本や、先日の…

『魔の谷』(モンテ・ヘルマン/1959)

モンテ・ヘルマン特集。開巻早々の御機嫌なジャズにヌーヴェルヴァーグとの共振(1959年!)を感じる長編デビュー作。ヌーヴェルヴァーグ+ロジャー・コーマンといったところでしょうか。とりわけ素晴らしいのは強盗団一味と事件に巻き込まれた主人公が…

アーセナル ― セルティック Total 5−1

CLプレイオフ2ndレグ。昨シーズンまで毎試合見ていたセルティックとの試合ということでちょっとだけ複雑な心境。アーセナルとしては余力を残して華麗なつなぎで万全に勝ったという趣き。ボールタッチ一つとっても一人一人の技術の差が大きすぎる。開幕か…

『デス・ルーム』(2006)

デス・ルーム スペシャル・エディション [DVD]出版社/メーカー: 角川エンタテインメント発売日: 2009/04/24メディア: DVD購入: 1人 クリック: 11回この商品を含むブログ (9件) を見るモンテ・ヘルマン、ジョー・ダンテ、他によるオムニバス作品。オムニバス…

『CHINA 9 LIBERTY 37』(モンテ・ヘルマン/1978)

China 9 Liberty 37 [DVD] [Import]出版社/メーカー: Trinity Home Ent発売日: 2007/03/06メディア: DVD購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (1件) を見る輸入DVDでモンテ・ヘルマン『CHINA 9 LIBERTY 37』。ウォーレン・オーツとかサム・ペキン…

Gaslamp Killer

KAMAAL THE ABSTRACTアーティスト: Q-TIP出版社/メーカー: ZOMBA発売日: 2009/11/09メディア: CD購入: 6人 クリック: 122回この商品を含むブログ (14件) を見るQ-TipのKamaal The Abstract名義のアルバムがついに発売される。8年前にリリースを予定、業界内…

『愛と欲望の毛皮』(ダリオ・アルジェント/2006)

13 thirteen 「愛と欲望の毛皮」 [DVD]出版社/メーカー: 角川エンタテインメント発売日: 2008/02/13メディア: DVD クリック: 3回この商品を含むブログ (3件) を見る『サスペリア・テルザ』は個人的には問題作というか、はて、これは一体どう感じたらいいの?…

『グッバイ・ベイビー』(ジョン・カーペンター/2006)

2010年以降、新作が続々と待機しているジョン・カーペンターのTV作品。あの美しい『世界の終り』に続く『グッバイ・ベイビー』。これを見てしまうと、かなり奇怪な形で健闘しているトビー・フーパーの『災厄の街』や、ジョー・ダンテらしいオチに思わ…

『無謀な瞬間』(マックス・オフュルス/1949)

ラナ・ゴゴベリーゼの『転回』も見たかったけど最後まで見たらオフュルスに間に合わないことが発覚しシネマヴェーラの最終回へ。オフュルスのハリウッド作品。これが凄かった!ジョーン・ベネットの徒歩シーンを余さず撮り(二階へ上がる階段と通路が印象的…

『エレジー』(アレクサンドル・ソクーロフ/1986)

ソクーロフも音響が面白い人だね。亡命したオペラ歌手シャリャーピンはじめ、出てくるすべての顔が素晴らしいのだけど、とりわけ元ミスロシアの女性の顔の影と、囲んだテーブルの前で秒針が動いてる間は誰一人微動だにせず、音楽が流れ始めると動き出す、と…

『ピロスマニのアラベスク』(セルゲイ・パラジャーノフ/1986)

アテネフランセにてパラジャーノフの短編。このような真の傑作に出会うことがどれほど幸福な体験か説明するのは難しい。尋常ならざる傑作であると言ったところで作品と言葉の距離は一向に縮まることがない。作品が現実世界を脅かす。それほどまでに打ちのめ…

『災厄の街』(トビー・フーパー/2006)

「マスターズ・オブ・ホラー2」より。これは素晴らしいですよ。呪われし家族の因果な系図。車のドアに釘付けにされた父親がグルングルンに回転して内臓剥き出しで破裂するシーンからしてかなり衝撃的。というかヤバイ。この作品の人の死に方はどれも凄まじ…

『ノイズ』(ブラッド・アンダーソン/2006)

13 thirteen 「ノイズ」 [DVD]出版社/メーカー: 角川エンタテインメント発売日: 2008/02/13メディア: DVD クリック: 2回この商品を含むブログ (4件) を見る「マスターズ・オブ・ホラー2」より。生活の「ノイズ」を過敏な大きさで感じてしまう己の耳。途中ま…

『時をかける少女』(細田守/2006)

時をかける少女 通常版 [DVD]出版社/メーカー: 角川エンタテインメント発売日: 2007/04/20メディア: DVD購入: 8人 クリック: 289回この商品を含むブログ (995件) を見る先日TV放映されたものを。私たちは何故こう反復を愛してしまうのだろう。少女が駆け抜…