『CHINA 9 LIBERTY 37』(モンテ・ヘルマン/1978)

China 9 Liberty 37 [DVD] [Import]

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輸入DVDでモンテ・ヘルマン『CHINA 9 LIBERTY 37』。ウォーレン・オーツとかサム・ペキンパー(!)が出ています。スペイン=イタリアで撮られた異色西部劇。作品の脱力ぶりに途中まで掴み所がなかったのだけど、最終的には大変なところまで持ってかれた。凄いなー、モンテ・ヘルマンウォーレン・オーツが愛妻に背中(限りなく首に近い)を刺され、うつ伏せのまま一見死んだかのようで、逃走する男女とのカットバックの末、不気味に蠢き始めるショットから一気に映画は動き始める。


男女の逃避行、途中で砂丘に埋まった小人を救い、サーカスの街へ。ここでの追っ手との銃撃戦で、絶妙に距離の離れたトライアングルの図が出来たり、テーブルを盾にしながら幾度もダイナマイトを投げるアクションが素晴らしい。ラストの銃撃戦では、各々が相当に距離を離れたところから敵を狙う。このだだっ広いスペースでの攻防戦が抜群に面白い。劇中唯一の定番の(!?)距離からの決闘の末、旦那(ウォーレン・オーツ)を生かすことを選んだ主人公は、女性を救い再び共に旅に出るでもなく、荒地に女性を放置する。すべてが去った後、旦那と愛妻が家財一式と共に馬車で去っていくロングショット、その向こうで盛大に燃え盛る炎。夫婦は住み慣れた家に火を放つ。一箇所に定住せずに、さすらいを繰り返す様がこの上なく美しいショットで描かれる。これはハリウッドを追われたヘルマン自身の投影だろうか。この作品が絞首台のショットから始まることも大変に興味深く思われる。


モンテ・ヘルマンWHO?という方は御馴染みの以下のページで↓
http://www7.plala.or.jp/cine_journal/whoswho/monte_hellman.html