『旋風の中に馬を進めろ』(モンテ・ヘルマン/1965)

旋風の中に馬を進めろ [DVD]

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こちらはモンテ・ヘルマンをリスペクトするタランティーノのお気に入り作品。ちなみにタラ氏は『フライト・トゥ・フューリー』をヘルマンの最初の偉大な作品としている。岩肌の近い広大な大地における、俯瞰の視線、俯瞰の銃撃、がまず印象的な異色西部劇。制作・脚本にしてヘルマンの同志、若きジャック・ニコルソンが、御馴染みのニコルソンではなく、最高にフレッシュな存在感、素晴らしい。一番の見所はやはり逃亡中に潜り込んだ父母娘の暮らす小屋でしょうか。無実の罪を背負わされて首吊りの刑が迫る2人(元は3人)。たらふく食事をしながら、外の追っ手(警備隊)や人質家族との、殺気だけを中心に欠いた犯罪、サスペンスに心底震える。宙ぶらりに放り出されたような中途感、物語としての一切の結びを受け付けないラストのニコルソンの疾走切りと、静かで短いエンドロールが、あまりにも美しい。凄い!大好きな作品です。