『ハリウッド・ブルバード』(ジョー・ダンテ、アラン・アーカッシュ/1976)

ハリウッド・ブルバード [DVD]

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ジョー・ダンテ特集。長編処女作、これは問答無用の傑作。”HOLLYWOOD”サインの山から夢の街を見下ろす女優志望の女性(余談ですがここで自殺した女優の実話が思い出されます。ここは自殺の名所として知られることになります。)が、いかがわしいプロダクションの推薦で、あれよあれよ大騒動に巻き込まれたり、C級映画に出演したりという完全無欠のおバカ映画を装いつつ、「映画は戦場だ」という名句さながら世界の縮図としてのハリウッドが一巡して、もとい、最終的には単なるおバカ映画の傑作としてプレゼンされるいう、素晴らしい作品。


ワゴンに乗った撮影隊が平行して追いかけるカーチェイスは『デス・レース2000』(ポール・バーテル/1975)への最も早いオマージュ(真っ黒メタルスーツ!)というか、いただきで、劇中内映画「戦場の女たち」の撮影(フィリピンロケという設定で一目瞭然にベトナムを想起させる)におけるやけに本気度の高い銃撃戦のアクションと共に、ブラボー!、圧巻のシーンの連続だった。


ドライブ・イン・シアターで上映される安っぽくてグロテスクな怪獣同志の交尾とか、ゴジナなる怪獣の登場とか、よく処女作には作家の全てが込められているというけれど、ジョー・ダンテも例外に洩れず、特異な引用のギミック(二次元キャラも召喚!)、「戦争ごっこ」ともいえるジョー・ダンテ的「遊戯」は確立されているといってもいい。


ジョー・ダンテの作品がツボだということに気づいてしまった。必見。て、みんな当たり前のように見てる作品なのかな?『グレムリン』も見直そうぞ。