『メイフィールドの怪人たち』(ジョー・ダンテ/1989)

この大の大人が繰り広げるご近所ドタバタコメディ&ミステリー(本当に街の一角を越えないロケ)を見ていると『マチネー』におけるジョン・グッドマンの「大人が偉いと思っているのかい?子供と同じで何も分かっちゃいないのさ。」という台詞が作家ジョー・ダンテを貫く通奏低音だということが判る。『マチネー』におけるこの台詞が少年による「あなたは子供みたいな大人ですね?」という言葉への反論としてあることに注視したい。ここには大人/子供の境界線が俗に言うピーターパン症候群や、それへの”大人”側からの批判すら無化させよう、秩序の破壊がある。


”何も分かっちゃいない”大人/子供によるご近所戦争(殺人への「疑惑」が契機となる戦争)が世界の縮図だという意図は、舞台となるご近所を大俯瞰で捉えたショットでアメリカ国旗が風になびいていたり、ラストの地球からも、指摘するのが野暮なくらい明らか。そしてここでもギミックは特異でチェーンソー男の出現など、テレビモニターの中のホラー映画が効いてくる。ショットとして一番輝くのは冒頭の画面連鎖でしょうか。トム・ハンクスの視線と走り回る犬の動き、少年のエアーギターが鳴り響くまで。どう考えても大したことしてないのに大袈裟に演出されているのも面白い。全体的にはノレたりノレなかったりの作品なのだけど、興味深い細部のある作品だと思います。というか再見なんだけど、ほとんど忘れていた。