『悲しみよこんにちは』(オットー・プレミンジャー/1957)


その女優が出ているというだけで痛みをともなう映画(と同時に見て見ぬフリが許されない映画)というのは確実にあって、ジーン・セバーグは間違いなくその筆頭にあるわけで、思い立ってイーストウッドリー・マーヴィンと共演しているミュージカル西部劇(!)、未見の『ペンチャー・ワゴン』(ジョシュア・ローガン)をレンタル屋さんで借りようとしたのだけど、未DVD化のVHSが次々と在庫落ちにされてしまう昨今、いつの間にかその存在は消されていました。決して稀少な作品というわけではないのだけど、見たという人の話も聞かないので(駄目過ぎて言及に値しないのか、可もなく不可もなくでなのか?)気になっていた作品。『ペンチャー・ワゴン』(ちなみに原題は『Paint Your Wagon』)はジョシュア・ローガンがその後映画を撮れなくなってしまったほどの失敗作(珍作)として知られている。『ジーン・セバーグの日記』ではイーストウッドとの束の間の恋のエピソードが語られていたっけ。どんな作品なのか、気になる!在庫落ち、怪しい作品は早目に借りないと駄目ですね。


ところでアテネフランセのウェブ上では何故かアップされていないけど「映画の授業 春期講習篇」として3月28日にジーン・セバーグ出演作が2本上映されるらしいです。

15:50〜『俺の墓標は立てるな』(フィリップ・リーコック)
18:00〜『フレンチ・スタイルで』(ロバート・パリッシュ
(共に日本語字幕なし)

クリス・フジワラ氏の講義も楽しみ。ジーン・セバーグは4月18日。
http://www.athenee.net/culturalcenter/program/cf/cf.html


リリス』(ロバート・ロッセン)は酷くダウナーになってしまうので『悲しみよこんにちは』で。このすぐ後に『ピーター・セラーズのマ☆ウ☆ス』(セバーグのお色気シーンも可愛らしい秀作です)を挿んでジャン=リュックの『勝手にしやがれ』が待っているわけだけど、よく言われるように、既にここにはその後の”呪われた”セバーグの人生が暗示されているわけで。なんといってもラストショットが鏡というところが痛ましい。自らの美と不安の肖像を反射させる鏡。不謹慎なほど透きとおった鏡。「ジーン・セバーグだ。寝ているようだ。」とは彼女の遺体を見つけた捜査官の第一声だそうです。ジュリエット・グレコシャンソンが胸を突き刺す。


笑いのない私のほほえみ
愛情のない私のくちづけ


ジーン・セバーグ・レトロスペクティブを熱望します。

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ジーン・セバーグ・コンプリート [DVD]

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