My 100 Best Films of The 2010s (11-20)
11.『ザ・マスター』/ポール・トーマス・アンダーソン(2012)
The Master / Paul Thomas Anderson (2012)
偉大な建築物のような映画であり、同時にとてもパーソナルな映画のようでもある。PTAの最高到達点。
12.『ハイ・ライフ』/クレール・ドゥニ(2018)
High Life / Claire Denis (2018)
「前進しているのだけど退行もしている」空間設計。ぬるいところが1ミリもない大傑作!「私にとって映画作りとは不可能への旅なのです」(クレール・ドゥニ)。敬愛するクレール・ドゥニにインタビューする機会に恵まれたので、よろしければ是非!
http://cinefil.tokyo/_ct/17266059
13.『ムーンライズ・キングダム』/ウェス・アンダーソン(2012)
Moonrise Kingdom / Wes Anderson (2012)
人の地図と人の地図がまさかのタイミングで重なり合うところ。『ムーンライズ・キングダム』が、そしてウェス・アンダーソンの映画が教えてくれるのは、そういうことです。泣。
14.『ライク・サムワン・イン・ラブ』/アッバス・キアロスタミ(2012)
Like Someone In Love / Abbas Kiarostami (2012)
ここには映画という装置の上でのみ浮かばれよう大きなドラマが、大きなエモーションの流れが、ノスタルジーによって幻聴するメロドラマの交響楽さえもが、たしかに存在する。この映画のことが好きすぎて、思い出すだけでやられてしまいます。
15.『あの頃エッフェル塔の下で』/アルノー・デプレシャン(2015)
Trois souvenirs de ma jeunesse / Arnaud Desplechin (2015)
「映画が君を作るんだ」というゴダールの言葉を踏まえた上で、『あの頃エッフェル塔の下で』の「君はたくさんの映画から学んだことを全て裏切った」という台詞を思い出すと、その開いてしまった傷口の深さに胸がザックザクに切り裂かれる思いだ。「完璧な愛は友情には変われない」。泣く。
16.『ジョジョ・ラビット』/タイカ・ワイティティ(2019)
Jojo Rabit / Taika Waititi (2019)
この作品のスカーレット・ヨハンソンが個人的にスカヨハ・オブ・ザ・イヤー(2019)。スカーレット・ヨハンソンは今が(これからが)一番素敵なのではないだろうか、と思わずにいられない。I wanna hold your hand!!!そう、手を取り合おう。映画の始まりから涙が出そうになるほど素晴らしい。そしてデヴィッド・ボウイ映画にハズレなしの法則。
17.『呼吸 -友情と破壊』/メラニーロラン(2014)
Respire / Melanie Laurent (2014)
女の子たちの笑いのスピード。笑いが女の子たちの距離を急速に縮め、笑いが女の子たちを引き裂く。それは過剰な情熱の代償。監督メラニー・ロランによる大傑作。と同時に2010年代の役者さんが撮った映画、-+心のマイ・ベスト1。
18.『アンジェリカの微笑み』/マノエル・ド・オリヴェイラ(2010)
O Estranho Caso de Angélica / Manoel de Oliveira (2010)
マノエル・ド・オリヴェイラ × ピラール・ロペス・デ・アジャラ(あのとめどなく美しい映画『シルビアのいる街で』の女優)というだけで、極上の作品に決まってるじゃないか。オリヴェイラの映画を見たことがないという人に最初にお薦めしたくなる作品。
19.『バルバラ セーヌの黒いバラ』/マチュー・アマルリック(2017)
Barbara / Mathieu Amalric (2017)
冒頭に響くバリバールの鼻唄が「声の亡霊」として、いくつもの身体と音声の残像を作っていく様が素晴らしい。躁病的なバリバールと同じく、躁病的な編集がサイケデリックなまでに炸裂する。何より圧倒的なジャンヌ・バリバール。死の香りと唄声が憑依している。美しい!
20.『20センチュリー・ウーマン』/マイク・ミルズ(2016)
20th Century Women / Mike Mills (2016)
すべてのショットが愛おしい。自分の言ったことは失敗も含めて全力で跳ね返ってくる。見たもの聞いたものすべてが切実に跳ね返ってくるところに初めて関係性(映画)が生まれる。マイク・ミルズはその生成に果敢に挑む。過去記事もよろしければ是非!