『キッスをよろしく』(エマニュエル・ムレ/2007)


初エマニュエル・ムレ。日本語字幕付き。本国フランスでは「新世代のエリック・ロメール」だとか「ウディ・アレン・ミーツ・ロメール」だとか好評価の作家。正直あんまり期待してなかったのだけど、これがなかなか良かった。若干自虐気味の自作自演ぶりや美しい女子に囲まれる設定も含めて画面だけ見てたらロメールよりアレン寄りなのかな?と思っていたのだけど、子供じみた悪意のない陰謀ゲームが絡んでくる中盤からラストにかけてロメール的ともいえる二重構造の残酷さ/引裂かれ感が剥き出しになり、結果、キスに痺れた。面白いねー。久々に見たヴィルジニー・ルドワイヤンもよかったです。映画の中で脚本家のように作品を構築していく俳優。テーマにぴったりの作品です。


上映後はジャン=マルク・ラランヌ氏による講演。2時間以上に渡るエリック・ロメール論。抜粋映像を含めての解説でした。ノンストップで捲くし立てるように話すラランヌ氏に並走する同時通訳の方、大変だったでしょうね。明日上映&ラランヌ氏との対談予定の『PASSION』濱口竜介監督もいらっしゃいました。


カトリーヌ・ドヌーヴ特集で来日の際のラランヌ氏の講演模様は以下に。リュック・ムレによる『俳優作家主義』(Politique Des Acteurs)って、たしかに読んでみたいね。
http://www.nobodymag.com/journal/archives/2005/0311_0154.php