CINEMOREさんへの『みんなのヴァカンス』評を書く際、これまでにギヨーム・ブラックへの白紙委任状で上映された作品群も併せて見ました。あらためてホン・サンスはいろんな映画作家に霊感を与えているなと思う。エリック・ロメールの『友だちの恋人』を選んだこともあったような記憶があるのだけど、いつどこだったか思い出せず、、。
ジャック・ロジエ『メーヌ・オセアン』
ジェームズ・グレイ『トゥー・ラバーズ』
ホン・サンス『オー!スジョン』
(ディーニュ=レ=バン/2014)
Philippe Condroyer『Coupe à dix francs』
(Cinéma La Clef/2020)
Philippe Condroyer『Coupe à dix francs』はギヨーム・ブラックが2010年代のベストリスト(1974年の映画です)にも挙げている作品。「髪を切れ」と言われ続ける青年の物語です。ギヨーム・ブラックは、この作品のアマチュアリズムに惹かれているらしい。アメリカ映画に70年代ルックがあるように、フランス映画にも70年代ルックがある。ルックというよりも、質感みたいなものというか。たとえばジャック・ドワイヨンの傑作群にそれを感じます(偏愛する作品は『あばずれ女』!)。そしてロベール・ブレッソンの『たぶん悪魔が』の質感もそう。で、この作品にも同じ質感や空気が捉えられています。青年が最終的に大変なことになってしまう映画です。この質感が取り返しのつかなさに奉仕している。なんというラストなのだろうか。面白かったです。