『アッシャー家の末裔』(ジャン・エプスタン/1928)

アッシャー家の末裔 (トールケース) [DVD]

アッシャー家の末裔 (トールケース) [DVD]

サイレント、染色版。シネフィルイマジカ録画で。最近ポーを読み直しています。細部に描かれていることを改めて発見することが多くて、本当に面白い。ということで個人的には非常にタイムリーな放送。眩暈を起こしそうになるほど強烈に美しい画面の連続が、凍てついた怖さに繋がっていくという氷の結晶で紡がれた傑作。助監督/脚色で若きルイス・ブニュエルが参加しています。翌年、ブニュエルはダリと『アンダルシアの犬』を撮りあげる。


原作(『アッシャー家の崩壊』)でも読者には聴こえないはずの「音」を強く意識させるのだけど、ここでも早速ギターが登場するのがなんとも嬉しいじゃないですか。アッシャー家に強く吹き続ける風と、全てを呑み込む沼と、ギターの弦を弾く音とが強烈な美しさで紡がれる。不穏極まりない振り子の音さえこちらまで聴こえてくるようだ。素晴らしい。ツボすぎて眩暈がする。


ジャン・エプスタン(エプスタインで覚えていたけど)のDVDは『Coeur fidèle』がフランスで出ていて、『Unseen Cinema: Early American Avant-Garde Film 1894-1941』というマン・レイの実験映画などを収録した実験映像集に『La Glace a trois faces』と『Le Tempestaire』という中篇/短編が入っているようです。意外とDVD化されてないみたいですね。まとまったBOXあれば欲しい!