『ラ・ピラート:撮影28日目/芸術省』(アラン・ナウン、アンヌ・アンドリュ/フィリップ・ガレル/1984、1988)

『ラ・ピラート:撮影28日目』は妻であるジェーン・バーキンの迫真の演技(本番前から極限な状態)を少年のように”入っちゃった”世界から見つめるドワイヨンの表情をカメラがひたすら映し続けるという作品で、短い抜粋映像のようではあるけど、とても印象に残る作品でした。バーキン、カッコいいです。


で、かなり凄かったのがフィリップ・ガレルによる『芸術省』。同時代作家へのインタビュー集ということなのだけど、これは「ガレルの映画」といって何ら差し支えない刺激的な作品。街角で右往左往しているガレル(ガレルは被写体として相当に魅力的)の向こう側からジャン=ピエール・レオが「やあ!」とやってくる冒頭。そのまま雨(?)の降る向こう側でレオー特有のアジテーションじみた台本読みをはじめるという。ジュリエット・ベルトとの美術館とか、ガレルの周りをまだ小さいルイ・ガレルが三輪車乗って回ってるだけのショットとか、びっくりするぐらい素晴らしいショット。あとガレルと対話者との顔が異様に近くて緊張が走る。ドワイヨンとの2ショットとか、この人たち映画スターじゃないだろかと思うもの。アンドレ・テシネ、ブノワ・ジャコ、シャンタル・アッケルマン、、、と錚々たる面子のあと、最後にレオス・カラックスの登場。神経質に痩せているカラックスはものすごくカッコいいのだけど、かなり挙動不審です。ガレルとカラックスの会話は軽い挨拶だけで、これからというところで作品が終わる。「僕の前にはゴダールがいて、後ろにはカラックスがいる」(ガレル談)ということだろうか。


――ジャン・ユスターシュの想い出に――というクレジット。同時通訳付いてたらよかったのに。話の内容が気になるじゃないかッ。