『デュエル』(ジャック・リヴェット/76’)

冒頭のバク転でもっていかれる。ジュリエット・ベルトとビュル・オジエ他またしても出てくる女優たちが、みな半端なく美しいこの作品には至るところでピアノの伴奏者が映りこんでいる。女優たちが演技するその場で即興的に劇伴をつけたかのような白髪のお爺さん。映画の中で彼が役者陣に絡むことは一切ない。舞台的な暗転や魔術といったギミックもさることながら、長回しの中、至るところに張り巡らされた鏡に女優たちが映ると、それがこちら側の世界なのか向こう側の世界なのか分からなくなる時がある。よくまあ、こんな複雑怪奇な撮影をしたもんだ。ファンタスティック!ダンスホールのシーンは遠く『パリでかくれんぼ』(95’)に反響してるのかな?月の光が真っ赤な血で染まる吸血映画でもあります。傑作ッ。