『狂気の愛』(ジャック・リヴェット)メモ
日仏の日程を間違えて記憶する痛恨のミスが発覚。『狂気の愛』も一度見たくらいじゃ全然足りないのに、、。そんなわけで、以下、自分のためのメモ。
彼ら彼女らが演じる四角形の真っ白な舞台はそのままスクリーンの投影である。様々な議論、紆余曲折を経て積み重ねられた彼ら彼女たちの「舞台」は、映画の後半、劇作者自らが破壊神と成り崩壊の道を辿る。ジャン=ピエール・カルフォンとビュル・オジエによる、恋人たちによる究極の破壊行為=遊戯で、壁のくり貫きやモニターの破壊という、スクリーンの破壊を直接的に想起させるような描写が目立つ。そして音。ジョン・ケージ的な外部のすべての音を巻き込んだかのようなコラージュ。そしてラスト、あの四角い舞台から赤ちゃんの泣き声が聞こえるとき、それら全てがここに綜合され、名前を付けられる以前のモノとして私たちの目の前に現れる。アントナン・アルトー言うところの「象形文字としての映画」をあくまでトーキーの立場から奪還したかのような、またはそのままネクスト・レヴェルに引き上げたかのような、リヴェットの果敢極まりない挑戦に感服する。
- 作者: アントナンアルトー,Antonin Artaud,坂原真里
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1996/03
- メディア: 単行本
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