My 100 Best Films of The 2010s (71-80)

71.『ネオン・デーモン』/ニコラス・ウィンディング・レフン(2016)

f:id:maplecat-eve:20191223003218j:plain

The Neon Demon / NicolasWinding Refn (2016)

 

美のバージョンアップ。美のメタモルフォーゼ。美しい生にも美しい死にもなれなかった女の子たちへの無言の切り返しショット。詳しくは過去記事を読んでいただけたら嬉しいです。実は自分の書いたものの中で、数少ない気に入っている記事。

https://maplecat-eve.hatenablog.com/entry/20170120/p1

 

72.『寝ても覚めても』/濱口竜介(2018)

f:id:maplecat-eve:20191223003810j:plain

Asako Ⅰ&Ⅱ / Ryusuke Hamaguchi (2018)

 

大事な人には大事にすることしかできない、という台詞に号泣。忘れられない人という長い長い夢の中で、感情を引っ張る導線=動線を描く素晴らしさ。朝子が体ごと引き寄せられるもの。引力とは感情だ。家に帰って猫を抱きしめたくなる作品でもある。

 

73.『5windows』/瀬田なつき(2011)

f:id:maplecat-eve:20191223135921j:plain

5Windows / Natsuki Seta (2011)

 

「同じアングルはどこだったけな?」同じアングルは二度と見つかることはない、を言い換えるならば、同じ感情は二度と見つからないということだろう。瀬田なつき映画の発見とは、劇中の登場人物の主観的な発見のことではなく、それを捉えるカメラの発見、それを目にする私たちの発見のことだ。挙動=感情の発見。

 

74.『Un couteau dans le cœur』/ヤン・ゴンザレス(2018)

f:id:maplecat-eve:20191223004243j:plain

Un couteau dans le cœur / Yann Gonzalez

 

ブライアン・デ・パルマ殺しのドレス』+マイケル・ジャクソン『スリラー』+マリー=クロード・トレユー『シモーヌ・バルベス、あるいは淑徳』+クィアフィルム、、。『ネオン・デーモン』と双璧な混沌と混乱と狂熱の素晴らしく刺激的な作品。是非、日本公開されてほしい。驚きます。

 

75.『ダンケルク』/クリストファー・ノーラン(2017)

f:id:maplecat-eve:20191223004719j:plain

Dunkirk / Christpher Nolan (2017)

 

超重量級の鉛の一撃!鉛の作家としてのノーラン。メタリックな重み、重力を全てのショットで貫く魂の込め方。ズシーーンと体ごと押し潰されてしまいそうになる鉛の一撃!

 

76.『メゾン ある娼館の記憶』/ベルトラン・ボネロ(2011)

f:id:maplecat-eve:20191223005037j:plain

L'Apollonide: Souvenirs de la maison close / Bertrand Bonello (2011)

 

ボネロ的デカダンスの万華鏡。『サン・ローラン』、『ノクトラマ』、『サラ・ウィンチェスター』、最新作『ゾンビ・チャイルド』に至る絢爛なフィルモグラフィーを考えるとき、この作品の持つ退廃的な香りを思い出す。一言でいえば、ポップスター。

 

77.『ハンズ・アップ』/ロマン・グーピル(2010)

f:id:maplecat-eve:20191223140509j:plain

Les mains en l'air / Romain Goupil (2010)

 

こどもたちによる闘争の映画。2010年代で最も美しい非暴力を描いた抵抗の映画ともいえる。この映画のことを思い出すと熱い気持ちが湧いてくる。

 

78.『裸足の季節』/デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン(2015)

f:id:maplecat-eve:20191223192521j:plain

Mustang / Deniz Gamze Ergüve (2015)

 

明け方の澄みきった空と重なる少女の凛とした眉。この子の眉さえ美しい。2010年代を代表する少女映画の一つ。

 

79.『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』/ジョエル&イーサン・コーエン(2013)

f:id:maplecat-eve:20191223140934p:plain

Inside Llewyn Davis / Joel & Ethan Coen (2013)

 

ネコの見た60年代NYの風景。誰に歌いかけるのか?ということの愛すべきポエジー。そして愛すべきネコ映画の傑作。

 

80.『ヘミングウェイ&ゲルボーン』/フィリップ・カウフマン(2012)

f:id:maplecat-eve:20191223140019j:plain

Hemingway & Gellhorn / Philip Kaufman (2012)

 

フィリップ・カウフマンがこの作品以降作品を撮っていないのは、とても不幸なことだ。あの美しい『存在の耐えられない軽さ』や『ヘンリー&ジューン』の作家ですよ。ニコール・キッドマンのベストワークの一つだと思う。