My 100 Best Films of The 2010s (51-60)
51.『マーサ、あるいはマーシー・メイ』/ショーン・ダーキン(2011)
Martha Marcy May Marlene / Sean Durkin (2011)
昨日の私たちからどれだけ遠いのか?その残酷な画面の余白に自分がいることを発見するとき、『マーサ、あるいはマーシー・メイ』は、作品と自分という距離すら失くしてしまう。恐るべきデビュー作。
52.『Queen of Earth』/アレックス・ロス・ペリー(2015)
Queen of Earth / Alex Ross Perry (2015)
アレックス・ロス・ペリーはこの作品で「顔」の作家の最前線に躍り出た。『17歳のカルテ』のエリザベス・モスに当たる不自然な光が、不穏なほど素晴らしい。ジーナ・ローランズの影さえ纏っている。
53.『ロスト・シティ・オブ・Z』/ジェームズ・グレイ(2016)
Lost City of Z / James Gray (2016)
「(父)コッポラなら、どうする?」に導かれた重厚で圧巻なド傑作!フィルムで撮ることにこだわりジャングルに向かった出演者たちの疲労の顔が美しい。ロバート・パティンソンはまるでデニス・ホッパーのようだ。
54.『Virginia/ヴァージニア』/フランシス・フォード・コッポラ(2011)
Twixt / Francis Ford Coppola (2011)
父コッポラ復帰後「小さな映画」3部作最後の作品。個人的には『テトロ』(2009)に最も強い思い入れがあるが、とんでもない地点へ辿り着く『ヴァージニア』は、フランシス・フォード・コッポラが映画に呪われた映画作家であることを思い出させる(ゴダール曰わく「コッポラは狂人めいている(から好きだ)」)という意味で凄まじい作品。
55.『A Bread Factory Part 1&2』/パトリック・ワン(2018)
A Bread Factory Part 1&2 / Patrick Wang (2018)
全体的としてはロバート・アルトマンの作風がまず浮かぶけど、ウェス・アンダーソンのフレームでジャック・リヴェット(『アウトワン』)をやったような舞台劇がとにかく面白い。
Outrage : Beyond / Takeshi Kitano (2012)
2010年代北野映画の最高傑作は迷いなくこの作品。重量級のドス黒さがラストに結実する。圧巻。
57.『ザ・デッド・ドント・ダイ』/ジム・ジャームッシュ(2019)
The Dead Don't Die / Jim Jarmusch (2019)
Sure Shot!!!で満たされた映画。ティルダ様が刀の一振りでゾンビを仕留めるように、一撃で魅了してしまう撮影がとにかく素晴らしい。冒頭数ショットから「ジャームッシュの映画を見ている!」という多幸感にまず襲われる。リスペクト!!!
58.『セインツ 約束の果て』/デヴィッド・ロウリー(2013)
Ain't Them Bodies Saints / David Lowery (2013)
ルーニー・マーラの顔に当たる炙り出された絵のような光を見るだけでも価値がある。テキサスの夜の暗さ、銃撃戦の乾き。傑作以外の何者でもない。ケイシー・アフレックの快進撃はここから始まる。
59.『わかってもらえない』/アーシア・アルジェント(2014)
Misunderstood / Asia Argento (2014)
楽譜に書きこまれたいたずら書きをそのまま演奏するかのような調子の狂った感情、調子の狂った子供たち、少女の反抗が画面に炸裂している。血まみれの少女アリア!!!
60.『ブルーバレンタイン』/デレク・シアンフランス(2010)
Blue Valentine / Derec Cianfrance (2010)
心と心が今はもう通わない!ということの切実さを描いた忘れられない映画。ラストショットにアメリカ国旗が映り込んでいるところが、また素晴らしい。多くの人にとっても私にとっても大切な作品。