My 100 Best Films of The 2010s (31-40)
31.『永遠の僕たち』/ガス・ヴァン・サント(2011)
Restless / Gus Van Sant (2011)
ミア・ワシコウスカとヘンリー・ホッパー。この二人の出会いこそがこの美しい作品の最大の功績。ヘンリー・ホッパーのラストスマイルはこの映画を愛する全員の心に永遠に刻まれた。
32.『ゴダール・ソシアリスム』/ジャン=リュック・ゴダール(2010)
Film Socialisme / Jean-Luc Godard (2010)
2010年代ゴダールといえば、個人的にはこの作品。特に荒々しさと美しさが同居した第一部はパーフェクトなフレッシュさだった。
Mountains May Depart / Jia Zhangke (2015)
フィルメックスのQ&Aのとき、中国人の女性のお客さんがジャ・ジャンクーに「(この映画撮ってくれて)ありがとう」と言いながら泣き崩れてしまったのが忘れられない。この作品で描かれる悲痛な未来は現在の「私たちの住んでいる世界」に他ならない。
34.『アイリッシュマン』/マーティン・スコセッシ(2019)
The Irishman / Martin Scorsese (2019)
マスターピース!!!スコセッシが真正面からストロングスタイルで描きたかったことがこれなのかとリスペクトしかない。謝るということ。そしてそれは決して許されないということ。打ちのめされる体験だった。圧倒的!
35.『MUD -マッド-』/ジェフ・ニコルズ(2012)
Mud / Jeff Nichols (2012)
マシュー・マコノヒーへの書き下ろし映画。ジェフ・ニコルズは『Mud』を撮るにあたって「サム・ペキンパーがマーク・トウェインを撮ったら」と思い描きながら撮影に挑んだそうだ。まったくブレのない強靭なスタイルとアメリカの風景に脱帽!!!
36.『A Ghost Story ア・ゴースト・ストーリー』/デヴィッド・ロウリー(2017)
A Ghost Story / David Lowery (2017)
幽霊は延々と待ちつづけた結果、もはや誰を待っているのか思い出せなくなる。永遠だと思っていた記憶にさえ賞味期限があるなんて、せつない。決して忘れないという意思と、忘れてしまうことへの恐怖と、思い出せないということの深すぎる悲しみ。
37.『トイ・ストーリー3』/リー・アンクリッチ(2010)
Toy Story 3 / Lee Unkrich (2010)
『トイ・ストーリー3』を21世紀で最も美しいアメリカ映画だと思う理由。ここには引き裂かれる二つの強すぎる感情への別れがある。
38.『贖罪』/黒沢清(2012)
Penance / Kiyoshi Kuroswa (2012)
小泉今日子がもはや日本人の女優ではなく、フランスの大御所女優のようなエレガンスを身に纏っている。彼女が敬愛するジャンヌ・モローのように。
39.『マリアンヌ』/ロバート・ゼメキス(2016)
Alied / Robert Zemeckis (2016)
マリオン・コティヤールは現代最高の女優。マリオンが映る度に泣いてしまう。古典映画の女優にうっとりするのと同じ領域に入っている。マリオンの映画女優としての「線」を確実に捉えたこの作品はとても美しい。ブラッド・ピッドも過去最高だと思う。
40.『グッバイ・ファーストラブ』/ミア・ハンセン=ラブ
Un amour de jeuness / Mia Hansen-Love (2011)
女の子の背中から物語が始まる。「さよなら」という言葉は決して何かを消し去ったりすることではなく、何かと共に生きていくんだ、という晴れ晴れとした気持ちが湧きあがってきたとき、初めて身に纏えるんじゃないかな、とも思います。『永遠の僕たち』のヘンリー君の微笑みや、『グッバイ・ファーストラブ』の帽子が教えてくれること。