『桃まつり presents kiss! 弐のkiss!』(2009)
ユーロスペースで開催中の『桃まつり presents kiss!』へ。実は「壱のkiss!」も初日に行ってきました。このまま全作品見る所存でございます。さて、本日は昨年東京藝術大学大学院映像研究科第二期生修了制作品『彼方からの手紙』が佐々木敦氏(「途方もない傑作である」)をはじめ各方面で驚きをもって迎えられた瀬田なつき監督の新作『あとのまつり』の上映とあってか、やはり満席、そしてそして、こちらの大きな期待を軽やかに超えてしまう驚異の新作には、上映後、何処からともなく拍手が湧き起こりました。私はといえば、通路側にも関わらずしばらく経ってもなかなか席を立てなかったくらいの衝撃。この作品、シネフィルのみならず、HEADZ好き、果てはオザケンファンに到るまで見逃し厳禁の傑作です。「世界に向かってハロー」!「弐のkiss!」は3月19日(木)〜22日(日)まで。もう一度見に行きます。
http://www.eurospace.co.jp/detail.html?no=190
以下、上映順とは逆に。
・『あとのまつり』(瀬田なつき)
瀬田なつき監督の才能を、そう遠くない未来、世界映画が発見するとき、大変なことが起こるのではないだろうか?『あとのまつり』を「分かりにくい」と評する人はおそらくいない。たとえその画面作りが実験精神に満ちた挑発的なものであったとしても、その入り口は何処までも開かれてるように映る、が故に、こちらはそのアッケラカンとした新しさに戦慄を覚えてしまう。一人の少女のあまりに生き生きとした運動がヌーベル・ヴァーグの息吹を吹き込む。バックグラウンドにある様々な映画の記憶、その固有名を出すことは難しいことではない。しかしそれら映画の記憶は、ちょうど宙をたゆたい、果ては中国、北朝鮮、アメリカにまで進路をとろう、劇中の風船のように、フワフワと記憶の走馬灯の如く、非連続的、非決定的な流れの中で、他愛のない景色として佇み続ける。その景色は儚い。その景色をやがて私たちは忘れてしまう。そして「はじめまして」とまた新しく出会う。現代の東京のストリートで、このような可憐さで少女が踊りだす光景を一体誰が予想できるだろうか?真に天才的な映画です。超必見!
・『月夜のバニー』(矢部真弓)
錚々たる有識者の方々が褒めているのだけど、イケメン俳優の演技に疑問が浮かび、あまりノレなかった。もっとも、この作品には特筆すべき美しいシーンがあることも確かなのですが(それはネタバレに過ぎるので書けない)。青年の演技が妙にカッコつけすぎているというか、その立ち姿、振舞いに意味を持ちすぎているというか、何考えてるのか分からないくらいの余白が欲しかった。それとは全く違うのですが「壱のkiss!」の『タッチミー』(山田咲)も幾つかの素晴らしいショットに唸りつつも、主役の女の子の声が映画との親和性薄いなぁと、ノレませんでした。
・『マコの敵』(篠原悦子)
冒頭のベリーダンスで期待が高まる。カメラの抜けがスゴくよい。マコにダンスの弟子入りする肉食系女子が、髪を下ろすと大人っぽくなるところにドキっとする。マコのダンスを真似て踊りだすシーンは御見事。マイクが拾ってしまう暴風をそのままにしている音作りもよい。録音は菊地信之氏。海のシーンの前、別れ別れになる二人に、もうワンクッション欲しかったかも。でもとても好感を持ちました。
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