『ランジェ公爵夫人』(ジャック・リヴェット/2007)


二回目。しかし前回は岩波ホール独特のやや奥まった位置にあるスクリーンと小さめの音のせいか途中何度も意識をなくしてしまったので不完全鑑賞でした。今日はギョーム・ドパルデュー追悼の気持ちを込めて。そして大変な傑作でした。


あれ、こんなにエロかったけ?てくらいギョーム・ドパルデューの周りをクルクルと舞う誘惑する女ジャンヌ・バリバールが素晴らしい。「恋していないのなら怒るわ」「”つれない”素振りは媚びるよりも愛の印だった」なんて台詞は本当に素敵だ。ギョーム・ドパルデューの接近からスッと逃げ去るように移動すると隣の部屋でピアノを弾き語るだとか、社交ダンスが始まるだとか、絶妙すぎた。しかしギョーム・ドパルデューの「斧に触るな」という、これまた”稲妻のような”発言からこの誘惑の主従関係は完全に入れ替わる。『修道女』(1966)の前半/後半が悲劇/喜劇(しかしどちらも悲劇)でぴったり2つに分かれていたように。しかしつくづく惜しい俳優を失くしたものだ。「すべては一篇の詩にすぎない」。素晴らしいッ。