『天使の入江』(ジャック・ドゥミ/1962)


こちらは昨年の東京でのセレクションには入ってなかった作品。ジャック・ドゥミミシェル・ルグランです。浜辺に近い路上に立つジャンヌ・モローをアイリス・インで捉え、そのまま全速力でカメラが後退していくファーストショットから鷲掴みにされる。思わず平手打ちを喰らわしたくなるようなギャンブル狂の女ジャンヌ・モローの演技が、分かっていても乗せられてしまう。まったくもって素晴らしい演技。贅沢と貧乏を行き来できるところがギャンブルの素晴らしさだとか。全てをバッサリ捨ててきたような男女の彷徨、ルーレットの賭けで結びつく様、とルグランの多幸感に満ちたスコアの出会いがスリリング。