『あなたの目になりたい』(サシャ・ギトリ/1943)


アテネフランセ「フランス映画の秘宝 最終上映」にて2本。ジュヌヴィエーヴ・ギトリ(サシャ・ギトリの奥様)の美しさに吸い込まれる。サシャ・ギトリ演じる彫刻家が作品タイトルの通り徐々に視力を失っていく。街灯のない闇夜の路上を恋人同士、懐中電灯を照らして移動するシーンが素晴らしい。このフィルムノワールの如く印象的なシーンは、終盤、ジュヌヴィエーヴ・ギトリが完全に視力を失ったサシャ・ギトリを光で導くように室内照明を点けるシーンと照合関係にある。この照明を「必要ない」と拒否するギトリ、ジュヌヴィエーヴの顔こそが、導きの光となる瞬間が、大袈裟な身振りを伴うでもなく非常にさらりと演出されている。彫刻家という設定が効いている。視力を失いつつあることを隠すギトリと何も知らないジュヌヴィエーヴ。ジュヌヴィエーヴが自身の胸像の顔を傷つけるシーン、及び、盲目のギトリがジュヌヴィエーヴの顔を見つけるシーン、芸が細かい。「それを”愛”と呼べないのなら”好奇心”と呼べばいい」とは名台詞。ジュヌヴィエーヴ、綺麗な人だわ。