『グレースと公爵』(エリック・ロメール/2001)

グレースと公爵 [DVD]

グレースと公爵 [DVD]

池袋新文芸座→新宿プラザにて現代の巨匠作を3本。


劇場公開以来ここ数年なにかと機を逃し続けていた『グレースと公爵』、初見。デジタル処理された絵画を背景にした”ロメール映画”(根本的に真逆のものが同居)ってこれは予想通り戸惑いますね。”映画以前、写真以前〜”(ユリイカ「特集 エリック・ロメール」中の梅本洋一氏による論考)ですか。この高貴な卑猥さは間違っても文学的などとは言わせない、あくまで映画のつくりになってるところがまたこの作品を語る非常に厄介なところで。とはいえメチャクチャ面白かったんですけどね。”無価値な男”をベッドに匿う巡視隊のシーンと、その直後の緊張から解き放たれた嗚咽のように漏れる声と表情、そこからグレースが誇りを取り戻すところや、ファナティックな革命下の世界における民衆の野蛮さ不潔さ、など諸々。もう一度見たい。