『Le Gai Savoir』(ジャン=リュック・ゴダール/1969)


DVDで。邦題を『たのしい知識』。スパンク・ハッピーもタイトルを拝借。孤島に流されたかのような又は大海原を漂流しているかのような(「ロビンソン漂流記」への言及)暗闇の室内、ジャン=ピエール・レオーとジュリエット・ベルトがいつ終わるでもない言葉遊び/問答を繰り返すという内容。『愛すべき女・女たち』(67’)の『未来展望(二〇〇一年愛の交換)』(超好きッス!)のごとくコンピューターのレトロな解析音(?)や不明な数字の羅列から始まる冒頭でいきなりロックオンされてしまった。ラジオ音声と思わしきコラージュ/ノイズが全編を覆っている。エミール・ルソー(レオー)とパトリシア・ルムンバ(ベルト)を名乗る2人が最後「Godspeed,Juliet!」「God is dead,Jean−Pierre!」と本名で言葉を交わしバイバイするというラストまで、ゴダール的解体としか言いようのない画面でありつつ、映画をゼロ地帯にまで引き戻したかのような画面が続く。


「これは作られるべき映画作品ではないが、作るべき映画作品があるとすれば必然的に、ここで辿った道のいくつかを通過するだろう。」


レオーとベルトがこどもと老人に言葉の自由連想を仕掛けるシネマ・ヴァリテ風の場面があるのだけど(問いは相手を無視して矢継ぎ早に繰り出される)、「セクシャリティー」との問いにこどもが「パパ」と答えるところや、老人が問いかけを無視してエロ話を長々語るとこが笑えた。この少年と老人の顔がミラクルな表情をしているのは言わずもがな。ホンット奇跡的な顔なのさ!


ジュリエット・ベルトの監督した作品『Neige(雪)』とかってカンヌで賞獲ったりしてるのだけど見れないものだろうか。

愛すべき女・女たち [DVD]

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