『パリ、恋人たちの2日間』(ジュリー・デルピー/07’)


ジュリー・デルピーの監督作は愛すべき小品。ひたすら会話のみで進んでいく展開が『恋人までの距離(ディスタンス)』(リチャード・リンクレイター)やウディ・アレンの諸作品を思わせるも、反帝国主義、ブチ切れキャラを演じるデルピーがナビゲートするパリ(彼女の台詞「ようこそフランスへ!」は強烈な皮肉。カッコいいさ!)はお洒落とは程遠い地獄のパリをみせていて面白い。アダム・ゴールドバーグが黒眼鏡をかけて「こうすればゴダール風かな?」とデルピーに尋ねるとことか、よいね(何故かは言うまでもないでしょう)。音楽祭の中、離れ離れに彷徨う男女を背中越しに捉えた画は普通といえば普通なのだけど、かなり好きだった。好印象。こういう映画を撮っちゃうジュリー・デルピーは心底カッコいい女性だと思う。


ところで『恋人までの距離』でジュリー・デルピーが読んでいた本はバタイユの『マダム・エドワルダ』なのだ。あの場面ちょっとツボだった。以下ジュリー・デルピー写真館。左はゴダールの『映画史』右はカラックス『汚れた血』。boid樋口さんの日記にあった「当時世界中から注目を集めていた監督の悪口ばかり言っていた」って彼女の標的はカラックスですよね。