『ビリー・ザ・キッドの冒険』(リュック・ムレ/1971)
こちらはジャン=ピエール・レオ主演の異色西部劇(?)。西部劇を装いつつ同じく山脈が舞台の「登山映画」。引き続き岩肌をなめるような数々のロングショットが素晴らしい。そしてこれも一筋縄ではいかない独創的な作品、傑作でした。だってヒロインが最初砂に埋まってますからね。スゴイ登場の仕方。ひょっとすると『密輸業者たち』より過酷かもしれない鋭角な岩、岩、深い砂の足場。この斜面をジャン=ピエール・レオは何度も滑り落ちたり、挙句の果てに岩間に体ごと挿まれたり引き摺られたり。砂の中からいろいろ見つかるのだけど「MEXICO」と書かれた標識を掘り出すところが楽しい。
洞窟で奇抜な汚れた衣装を着た男女が映るファーストショットを謎にしたまま宙吊りにしたまま(というか半ば忘れ去られたように)映画は進むのですが、ラストでなんのことか分かるようになっている。シンメトリーな構成は『密輸業者たち』と同じですね。ラストのキスも『ブリジットとブリジット』から3作続けて素晴らしい。尚、この作品の編集にはジャン・ユスターシュがクレジットされている。『ブリジット〜』にはロメール、シャブロル、サミュエル・フラーが出演している。