『エグザイル/絆』(ジョニー・トー/2006)


歌舞伎町にて実はジョニー・トー初体験。反復されるドアノックと車に乗った男たち(フィルムノワールっぽい)、キメキメの役者の配置の仕方とか、フムフム、これは様式だねぇ。と途中までは軽い気持ちで見ていたのですが、風になびくカーテン(幕?)のユラユラに身を隠す男たちの銃撃戦あたりから様式が様式のまま、そこすら超えていってしまうというか、とにかく完全に痺れっぱなしで参りました。銃撃戦の舞台であるビルをロングで上からティルトダウンさせていく(階段での銃撃戦)→ぐるぐる巻きにされた瀕死の男が落とされ、無情にも上空から撃たれる、という流れにビビる。舞台はいつの間にか山腹の砂丘、つまりアメリカ映画的風景までも召喚してしまうわけで。焚き火を囲んでジャレ合う男たち、ハーモニカの演奏。空き缶を使ってサッカーまで飛び出すラストの銃撃戦、人力アクションここに極めり。オォォ、なんてこった、恐るべき作品ですね。本当はこの後『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』見に行く予定だったのだけど、しばらくこの気分を噛み締めていたくてキャンセルしたくらい。超必見です!


「1トンの苦労―――それって重いのかな?」


追記*砂丘で人力で車を押し進む男たちの、なんと魅力的なショットか。