『夏の庭』(相米慎二/1994)

本当にこの映画が好きなみたいです。ボロ泣き。これは相米組による戦争と時間をめぐる映画です。度のキツイ眼鏡をかけた少年はブランコを漕ぎながら「どうすればみんながみんな上手くいくのか」と途方に暮れる。三國連太郎はかつての妻がまだ生きていることも、ましてや娘が生まれ既にこの世にいないことすらも知らないまま時間の止まった生活をしている。その事実を一世代飛ばした孫娘が伝えるというところに時間の残酷さはある。その事実を子供たちが掴むというところにこの映画の希望はある。ラスト、戦後50年間止まったままだった夫婦の時間が再び動き出すとき、淡島千景の「おかえりなさいませ」で落涙する私たちすら突き放すように、そして少年たちが一生懸命に植えたコスモスの花の満開の美しさすら、時空を超えた爆撃音とともに全ては朽ち果ててしまう。残ったものは何か?見てない人は是非見てください。