『Rentrée Des Classes』(ジャック・ロジェ/1956)

ジャン=リュック・ゴダールが『勝手にしやがれ』を撮ったあと、プロデューサーのジョルジュ・ド・ボールガールがゴダールにこう言ったそうです――「あんたみたいに映画を作れる仲間はいないかね?」。で、ゴダールは、ふたりのジャックをボールガールに紹介したわけ。ジャック・ロジェジャック・ドゥミをね。」(アニエス・ヴァルダ――『友よ映画よ、わがヌーヴェル・ヴァーグ誌』(山田宏一著)より)








そんなわけで”もう一人のジャック”ことジャック・ロジェの短編を2本、輸入DVD、英語字幕付きで。こちらは記念すべき破格のデビュー1作目。小学校を舞台に、ときて其処彼処にジャン・ヴィゴの『新学期・操行ゼロ』を想起させるこの作品は開始早々大きな河の大俯瞰に打ちのめされる。学校、いたずらに駆け回る子供たち、大きな河に架かる橋の上、クラスメイトに「チキン野郎!」と罵られた少年が自らのカバンを河へ投げ込む。ここから映画はちょっとした少年の冒険譚に様変わり。流されたバックを拾いに少年は下流へどんどんどんどん下って、水位が胸元まで浸かるほど深い、まるでジャングルのような異世界へと迷い込む。ここで少年視点になるカメラの移動撮影にワクワクする。少年が小さな蛇を捕まえようと戯れるシーンがミラクルで、よくこんなの撮れたねー!と少年の様子を伺いながら目の前をニョロニョロする蛇の動きが面白い。少年はこの蛇を捕まえて学校に戻るわけですが、ここで少年の仕掛ける悪戯で学校は大パニック、ここから更に奇跡的且つ無法地帯のような場面の連続で、蛇を持って路地を走る少年とそれを楽しそうに追いかける生徒たちを正面から捉え続けるカメラが素晴らしい。キラキラした生命力が眩しすぎる超傑作です。