『出稼ぎ野郎』(ライナー・W・ファスビンダー/1969)


アテネフランセファスビンダー3本。早起きしてインディも見たかったのだが。あと『イースタン・プロミス』も早いとこ再見したい気分。ホント大好きなのだ。


今日見た3本は年代順に並びながらも、それぞれ全く違う作風でびっくり。その中でも長編2作目に当たる『出稼ぎ野郎』が個人的に大ヒットだった。ヌーベルヴァーグの影響が全快らしいデビュー作『愛は死より冷たい』(69’)を未見なので、そこから『出稼ぎ野郎』へのジャンプがどれほどの実践を伴ったものなのか正確には計れないのだけど、これはこれ単体で他に類を見ない独自の映画のように見えた。気怠い雰囲気の若者たち(娼婦とニート?)のコミューンを、室内とアパートの前を軸にとてもシンプル且つコンセプチャルに反復し、そこに異邦人=侵入者(ファスビンダー本人!)が混入することで徐々にズレが生まれていく、という崩壊の図式。「硬直した映像」と言われる平面的な画面の数々がとてもいい(この写真の並びだとか、繰り返される2人歩きだとか)。ドイツ語の分からない異邦人=ファスビンダーが「こいつの男性器を切り落として丸焼きにして云々〜」とか目の前で言われてるにも関わらず、何度もグラス片手に乾杯を繰り返すとこなど笑える。ところでスープ飲んでる女性に往復ビンタって、おいおい。