『アウト・ワン スペクトル』(ジャック・リヴェット/71’)


続いて『アウト・ワン スペクトル』。12時間40分が4時間20分に。といっても単なる短縮版なわけはなく、再構成、順番も結構違ったり。本編第3話(180分以上後)に出てくるエリック・ロメール(教授)が30分もしない内に登場するや、その展開のカッ飛ばしぶりにまず驚く。『アウト・ワン』の各話冒頭、一度聴いたら忘れられそうにないコンガの演奏をバックに映し出された超カッコいい写真の数々がノイズを伴って劇中かなり頻繁に挿入される。リヴェットによれば「情緒よりも、韻や対比、切断や繋がり、詩の句切りや削除に重きが置かれた」編集ということなのだけど、『アウト・ワン』が劇中に発生する時間を共に体験する映画だとしたら、『スペクトル』はぶつ切りにされることで瞬間瞬間のポエジーが一層際立つような作りになっている。コラン(ジャン=ピエール・レオ)の吹くハーモニカは彼がポリーヌ(ビュル・オジエ)に恋をすることで、ノイズから哀愁を湛えた音に変化していくのだけど、そこらへんの区切りも本編より随分と分かりやすい。長いゆえか、前回ボーと見てしまったシーンにもまた新たな驚きを発見したり。ただやっぱ『アウト・ワン』本編を見てこその楽しさ、なのかもしれないが。ここ一週間『アウト・ワン』の迷路で彷徨っていたので(妙な中毒性があるのだよ、リヴェット欠乏症になる)とても幸福な時間だった。ジャン=ピエール・レオが13数えて終了(バルザック『十三人組の物語』)。カッコいい。


ジュリエット・ベルトが唄いながらケンケンパッはちゃんと残ってて嬉しい。以下素敵な素敵なジュリエット・ベルト写真館。右は『中国女』(ゴダール)。
















以上でリヴェット月間は終了。とても充実した体験だった。感謝。明日明後日のジャンヌ・ダルクも見たかったなー。